何この状況 ページ21
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樋口Side
後方で待機をしていると、無線に連絡が入った。
例の探偵社の少女を連れに向かったが、赤黒い巨大な獣が現れ少女を連れ去ったと。
すぐに部下を連れて現場に向かった。
「こ、これはっ……!」
目の前に広がる光景に、私は目を見開いて驚いた。
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「っだぁぁぁぁっ!! 鬱陶しいっ!! 何とか出来ねぇのか芥川っ!!」
「くっ……僕とて……動けぬ故……」
中也さんと芥川先輩が、沢山の赤黒い仔犬に囲まれていた。
外套を咥えられ引っ張られたり、腕や足に噛み付いていたり……な、何だこの状況は。
「あ、姉さんっ!」
「立原、これは一体……」
立原の声が聞こえてそちらを振り向けば、同じく赤黒い仔犬を抱えて近付いて来た。
よく見れば広津も銀も、周りの部下達も子犬に纏わり付かれていた。
「でっかい獣をあの二人が潰したり切り刻んだりしたら、分裂して……」
《キャン、キャン》
マルチーズの様なフワフワの毛の子犬が私を見て鳴いた。
か、可愛い……じゃなくてっ!!
「この獣は消滅しないのですか?」
「芥川君達が頑張ってくれたのだがね。これ以上分裂して増えては困ると、二人も手が出せない状況だ」
そう云いながら、広津は子犬を抱えて優雅に撫でている。
ふと、地面に横たわる例の少女が見えた。
その近くには大型犬位の犬が居て、少女の襟首を咥えて運ぼうとしている。
私は拳銃を構えてそちらに近付く。
すると、大型犬が私に気付き、少女を地面に下ろす。
そして、何故か嬉しそうにぶんぶんと尻尾を振って飛び掛かって来た。
「うわっ!?」
押し倒された拍子に拳銃を手放してしまった。
大型犬にのしかかられて顔を舐められる。
「わっ! ちょっんぶぅっ! と、止まれっ! ストップッ! 待てっ!」
じたばたともがきながら叫ぶと、ふっと重みが無くなった。
「えっ……?」
大型犬は私から退いて、横に座って尻尾を振っていた。
大人しく待機している。
今、私の云う事を聞いた?
いや、まさか……と云いつつ、大型犬に向かって手を差し出す。
「……お手」
すると、大型犬は前脚を出して私の手に乗せた。
い、云う事聞いてくれたぁっ! お手した、お手っ!
何とも云えない感情が私の中で込み上げて来る。
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「――おい手前樋口、何遊んでんだよ」
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はるか(プロフ) - すみません、リクエストお願いします。何でもいいのでネコ科の動物に乗って夢主が、爆走するのを書いてもらえればうれしいです。よろしくお願いします。 (2018年6月20日 0時) (レス) id: 2bc02ca7fa (このIDを非表示/違反報告)
ココ(プロフ) - すみません、少し思いついたのでリクエストさせていただきます!夢主ちゃんと鏡花ちゃんが兎達とふれあってるほのぼのしたお話を書いていただきたいです!よければよろしくお願いします! (2018年6月17日 7時) (レス) id: 8afcf3da14 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - RANAさん» 創作出来ました。リクありがとうございます! (2018年6月17日 0時) (レス) id: 1f1c692189 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - 最新話みました!!めちゃめちゃ面白くて大好きです!!ありがとうございます!これからも頑張ってください! (2018年6月16日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
愛子(プロフ) - 蛞蝓さんで吹き出しました(笑)面白いです。更新頑張って下さい!応援してます。 (2018年5月23日 10時) (レス) id: 1d139961bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年4月22日 23時