禍狗の瞳 ページ18
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『んーーーっ!?』
ウチを押さえ付けていた男達が退いたので、テーブルの上から転げ落ちる。
口のガムテープを取って、床を這って逃げる。
誘拐犯達も拳銃を持って抵抗し、ウチの頭の上を銃弾が飛び交う。
電話の偽パパの声に聞き覚えがあった。
あの黒服の人達も見覚えがあった。
――ポートマフィアだ。
莫迦なウチでもそれ位学習するよっ!
何でこのタイミングで襲撃が?
そもそも何でウチのケータイに首領の人から電話が掛って来るワケ!?
と云うか、ウチの迎えって何? 買い物する約束とかしてないしっ!!
大人しく待ってろって云われて、素直に待ってるワケ無いでしょっ!
寧ろ、今すぐ帰りたいっ! 逃げたいっ!
このどさくさに紛れて逃げられないかなぁ……。
なんて考えながら床を這っていると、いきなり襟首を掴まれた。
「動くんじゃねぇっ!! 餓鬼がどうなっても良いのかっ!」
リーダーの男がウチを盾にしながら叫んだ。
『は、放せっ! この――いっ!?』
首元にはナイフが当てられ、少しチクリと痛みが走った。
銃撃は止んだが、おじさんは紳士的な動作で、呆れていた。
「妙な真似するなよ、早く道を開け――」
リーダーの男が云い終わる前に、黒い槍が後ろから突き出て来た。
血飛沫がべちゃりと頬に掛かった。
黒い槍はリーダーの男の胸を貫いたままゆらりと動き、既に絶命した男を持ち上げゴミの様に床に落とされた。
解放されたウチは、ただそれをぼんやりと見つめる事しか出来なかった。
後ろの方で窓硝子と壁が崩れる音が聞こえた。
割れた硝子を踏み締め、足音が近付いて来た。
「――以前の威勢は如何した、小娘」
視線を上げると、真っ黒い細身の青年が居た。
此方を見下ろす瞳に感情は無く、まるで獣の様だった。
――その瞬間、頭の中で何かが過ぎった。
前にも一度、似た様な光景を見たことがあった。
頬に掛かった血の感触
充満する鉄の臭い
地面を染める紅
血溜まりで動かなくなった男
真っ直ぐ此方を見る狗の眼
ドクドクと心臓が五月蝿く鳴り、息苦しくなって目の前が暗くなった。
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はるか(プロフ) - すみません、リクエストお願いします。何でもいいのでネコ科の動物に乗って夢主が、爆走するのを書いてもらえればうれしいです。よろしくお願いします。 (2018年6月20日 0時) (レス) id: 2bc02ca7fa (このIDを非表示/違反報告)
ココ(プロフ) - すみません、少し思いついたのでリクエストさせていただきます!夢主ちゃんと鏡花ちゃんが兎達とふれあってるほのぼのしたお話を書いていただきたいです!よければよろしくお願いします! (2018年6月17日 7時) (レス) id: 8afcf3da14 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - RANAさん» 創作出来ました。リクありがとうございます! (2018年6月17日 0時) (レス) id: 1f1c692189 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - 最新話みました!!めちゃめちゃ面白くて大好きです!!ありがとうございます!これからも頑張ってください! (2018年6月16日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
愛子(プロフ) - 蛞蝓さんで吹き出しました(笑)面白いです。更新頑張って下さい!応援してます。 (2018年5月23日 10時) (レス) id: 1d139961bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年4月22日 23時