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「いやぁぁぁっ!!」
涙を浮かべ叫ぶ樋口の喉笛を、黒犬が喰らおうとした。
その時、芥川の異能が黒犬を切り刻んだ。
切り裂かれた黒犬はそのまま霧散して消えた。
<ふぅん、役立たずと云った割には、随分と部下に優しいじゃないか>
再び声が聞こえ、少し離れた物陰から大型犬ほどの大きさの黒犬が現れた。
「その娘は僕の部下。故に処断は僕が決めること。貴方が態々手を下すほどの事ではありませぬ」
<……ふふっ>
愉快そうな笑い声が路地に響く。
<禍狗が仔犬のお世話かい? 精々使える様に躾けるんだね。
「……行くぞ樋口」
芥川が歩き出すと、樋口は慌てて立ち上がって彼の後に続いた。
二人の姿が見えなくなると、ずっと黙っていた太宰が口を開く。
「相変わらず、部下虐めかい?」
<躾だよ。でも、上手くいかないものだねぇ。まだ駄犬共の方が扱い易い>
黒犬が太宰を真っ直ぐ見遣った。
<久し振りだねぇ、治。まだ生きているなんて大変残念だよ>
「お兄ちゃんに対して随分寂しい事を言うじゃないか」
<だって未だに心中とか云っているんでしょ?>
知っているよ、と黒犬は呆れた声で云えば、太宰は小さく笑ってから口を開いた。
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ネコぱふぇ(プロフ) - 光華さん» 率直な感想ありがとうございます。 (2020年10月31日 22時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - もうほんと、最高!! (2020年10月31日 6時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - マナさん» ありがとうございます。 (2020年10月22日 17時) (レス) id: f468936552 (このIDを非表示/違反報告)
マナ(プロフ) - すごく…タイプです… (2020年10月22日 16時) (レス) id: da5e25c6ab (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - 紅寧さん» 黒の時代の太宰を更に拗らせたドSです。とことん他人を虐めるのでどうぞよろしくお願いします。 (2020年10月12日 21時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2020年9月26日 23時