【文スト】紙使い少女は、黒に染まっていた【黒の時代】

仕事の依頼 ページ41

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バイトが終わって帰りに向かっている時、持っていた携帯電話が震えた。





画面に表示された名前は……









【木乃伊の包帯】









電話に出ようか出まいか、数秒考えてから着信釦を押した。



出ないと後が怖い。









《お早う。電話に出るのに何時も以上に遅かったのは、まだバイト中だったかな？》









『お早うございます。たった今バイトが終わり帰りに向かっていた所です。

　出るのが遅かったのは、単に朝から貴方と話をしたくなかったので』



《相変わらず君は正直だねぇ……》



向こうから軽く笑う声が聞こえた。





《まぁ今日がバイトと云うのは知っていたし、これ位の時間には終わっていると思ったよ》





知ってるじゃないか。

知っててこの時間に電話して来たな、この男。



こう云う所が腹立つ。



《それより如何だい？ 異能の上達具合は》

『迅速かつ丁寧と高評価を頂きました。何度か正社員の勧誘を受けた位です』

《それは結構だね。その調子だと、郵便局からも勧誘されているんじゃないかい？》

『先日の時点で、機械以上の働きと云われました』



太宰治から紹介して貰ったバイトは、新聞配達と郵便物の仕分けだった。

どちらも余り人目に付かず、紙媒体であるので私の異能力が適していた。



異能力の訓練になるのは良い



……ただ、この男が思う様に使われている様で、少々気に入らない。









《そんな今絶賛活躍中の君に、頼みたい仕事があるのだよ》





ほら。



こう云う流れて仕事を頼んで来るんだ。



早々に電話を切っておけば良かった。





《君が帰る道沿いに〇〇商店街があるだろう？

　そこに一軒だけある酒屋の竹一と云う男から書類を受け取って、私に届けて欲しい。

　話は通しておくから。届け方は何時ものやり方で》









『………………分かり、ました』









しぶしぶと仕事を請け負った。





《ふふっ……電話越しなのに、君の苦い顔が見えるよ》





面白そうに云う男の声を最後に、私はぶちっと電話を切った。



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