【文スト】紙使い少女は、黒に染まっていた【黒の時代】

裏切り ページ22

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ポートマフィアに勘付かれたと報告があり、一刻も早く本拠地を脱出した。

向かった先はもう一つの隠れ家である屋敷。

部下数人を連れて、他の部下は斬り捨てた。



手に入れた情報と資金は十分ある。

この屋敷は奴らにバレていない。

まだ逃げ切れる。



組長はそう考えた。



「こうも上手く行ったのは、お前のお陰だな」



組長は振り返り後ろの少女を見た。

本拠地に帰って来た途端、ポートマフィアが襲撃に来る事を伝えたのだ。



「手に入れた情報と資金がこれだけあれば十分だ。この屋敷は奴らにバレていない。逃げ切れ――」

『逃げ切れませんよ』



逃げ切れる、と組長が口を開く前に少女に否定される。

酷く冷めた口調で呟く様に。



「何？ ……如何云う事だっ！」



組長が少女に怒鳴ると、少女はパーカーのポケットから小さな機械を取り出した。



『さっきポートマフィアの人と接触して、発信機を着けられました。この場所は既に気付かれています。ここに来るのも時間の問題です』



淡々と答える少女に苛立ちを隠せない組長。

徐に拳銃を取り出した少女に向けた。



「糞餓鬼がっ！ 裏切ったのか！」



組長の怒鳴り声と共に、周りに居た部下達も拳銃を構える。

四方八方から銃口を向けられているにも拘らず、少女は続けた。









『――裏切ったのは組長が先ですよ』



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