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おじさん ページ15

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ただの興味本位だった。

薬局からの帰り道、ポートマフィアの本部の前まで来ていた。





このヨコハマに拠点を置く巨大な組織。





組長はここへ喧嘩を売ったのだ。



これまで二回の取り引き現場で構成員と鉢合わせした。

今は正体がバレていない様だが、それも時間の問題か。





――やっぱり、誰かを殺すなんて、私には……。





昨日組長に云われた言葉を思い返すと、体の痛みが同時に蘇る。

お腹を摩りながら、帰ろうと歩き出した。









その時、誰かに肩を叩かれた。

突然の事でびっくりして勢い良く振り返ると、おじさんが立って居た。





「あぁ、すまない。驚かせてしまったかね?」

『……』





申し訳なさそうに頭を搔いているおじさん。

知らない顔に私は警戒して一歩下がる。





「そ、そんなに怖がらなくても……ところで、この建物に何か用だったのかい?」

『いえ……すごく、高い建物だったので……何をしている所かなって』

「あぁ成程……私も詳しくは知らないのだけれど、大きな企業の本社らしいよ」

『そう、なんですか……』





「……君、怪我しているのかい?」





そう云われ、おじさんに顔を覗かれた。

慌ててフードを引っ張り隠す。

フードを引っ張った腕をおじさんに掴まれた。



『っい!』



丁度痛めた部分だったので、顔を歪ませ声を上げてしまった。

薬局で買った物が入ったビニール袋が地面に落ちる。

フードから手を放してしまい、隠していた顔の痣をおじさんに見られてしまった。



「如何したのだい、その怪我は?」

『……こ、ころび、ました……』

「……」





自分でも分かる。

体がガクガク震えている。

絞り出した声も震えていた。





おじさんはじっと暫く私を見ていたが、私から手を放して地面に落ちた袋を拾い上げる。





「……そうかい。気を付けるんだよ。顔に傷を作っては、折角の可愛い顔が勿体ないからね」





そう言って袋を私に手渡し、優しく頭を撫でた。



『じゃ、じゃあ、私はこれでっ』





そう云って私はその場を逃げる様に走った。





特におじさんが呼び止める事はなかった。





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少女→←失いたくない



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ネコぱふぇ(プロフ) - 名無し28935号さん» ご名答! 勝手に拝借しましたぁ('Д')ハハハ (2018年1月24日 1時) (レス) id: 20fe41653a (このIDを非表示/違反報告)
名無し28935号(プロフ) - 竹一って人間失格の耳だれの男の子ですよね!!!!!!!!!!!(違ったらすいません) (2018年1月24日 0時) (レス) id: 8c7fb5ba75 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - なーさんさん» ご指摘の部分はちょっと加えて修正済みです。応援ありがとうございます! (2017年12月26日 1時) (レス) id: 20fe41653a (このIDを非表示/違反報告)
なーさん - ネコぱふぇさん» いえいえ(汗)これからも楽しみにしておりますので頑張ってください!応援しています(*´ー`*) (2017年12月26日 0時) (レス) id: addadc6628 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - なーさんさん» ぐふぅ……ホントだ勉強不足で済みません(/ω\)ご指摘感謝します!これからも頑張ります! (2017年12月25日 21時) (レス) id: 20fe41653a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2017年12月4日 0時

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