失いたくない ページ14
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『――ぐっ……!』
仕事を終え帰って来た途端、組長に殴られた。
体が壁にぶつかって床に倒れる。
起き上がろうとしたら、髪の毛を掴まれ無理矢理起こされた。
「何故あの時止めたっ!! あのまま行けばマフィアの幹部だろうと殺せたはずだろうがっ!!」
『っ!! す、すみま――』
「謝罪は求めていないっ!」
もう一発殴られ床に倒れると、今度は腹を蹴られた。
余りの痛さと息苦しさで咳き込んだ。
口の中を切って鉄の味がした。
『っ……こ、ころしは……いや、です』
「あぁっ!? ここまで世話してやった恩を仇で返すってのか! お前の異能力を見出してやったのは俺だぞ!」
『で、でも――』
「お前は俺の指示通り動けばいいんだっ!」
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組長は一頻り私を蹴った後、部屋を出て行った。
痛い体を転がして、仰向けになる。
ぼんやりと天井を眺めながら、公園の出来事を思い返す。
身動きが出来なくなった相手を、自分は殺そうとした。
しかし、そんな自分が怖くなった。
ここで人を殺めてしまったら、自分の中の「何か」が同時に死んでしまうのだと。
ふと、指先にコツンと当たる物があった。
先日図書館で借りた本だった。
手に取って表紙を眺めて目を瞑る。
そうして一番に浮かぶのは、偶然にも出会った優しいお兄さんの顔だった。
今度会った時、おすすめの本を教えて貰う約束をしたんだ。
優しいあの人は、本当の私を知ったら如何思うのだろうか。
人を殺め、汚れてしまった私は、きっとあの人に嫌われてしまうのだろう。
それは、やだな……。
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ネコぱふぇ(プロフ) - 名無し28935号さん» ご名答! 勝手に拝借しましたぁ('Д')ハハハ (2018年1月24日 1時) (レス) id: 20fe41653a (このIDを非表示/違反報告)
名無し28935号(プロフ) - 竹一って人間失格の耳だれの男の子ですよね!!!!!!!!!!!(違ったらすいません) (2018年1月24日 0時) (レス) id: 8c7fb5ba75 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - なーさんさん» ご指摘の部分はちょっと加えて修正済みです。応援ありがとうございます! (2017年12月26日 1時) (レス) id: 20fe41653a (このIDを非表示/違反報告)
なーさん - ネコぱふぇさん» いえいえ(汗)これからも楽しみにしておりますので頑張ってください!応援しています(*´ー`*) (2017年12月26日 0時) (レス) id: addadc6628 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - なーさんさん» ぐふぅ……ホントだ勉強不足で済みません(/ω\)ご指摘感謝します!これからも頑張ります! (2017年12月25日 21時) (レス) id: 20fe41653a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2017年12月4日 0時