兄の為 ページ24
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「嘘だろ……何でっ」
「“贄”の呪いを、宿儺が一方的に掛けた場合なら、時間は掛かるだろうけど第三者による解呪は出来なくもない……だけど、今Aに掛けられているのは、縛りを設けたものだ。Aと宿儺、双方合意の上で出来た呪いなんだ」
「Aが、宿儺に従ったって事かよ。そんなの、絶対有り得ねぇって」
「僕もそう思いたいけど……」
現にAの首には呪印が刻まれている。
それが何よりの証。
合意の上の縛りを設けた呪いはとても強力なものとなる。
「ケヒヒッ、憐れだなぁ小娘。良かれと思ってやった行いも、実兄にこうも否定されるとはなぁ」
「何が言いたいんだよ」
「小娘は、お前の為に自らの呪力を捧げると言ったんだぞ?」
「……俺の為?」
悠仁は目を見開いて固まった。
「う、嘘だなそんなの。どうせてめぇが脅してっ」
「確かに脅しはしたが小娘はそれを拒んだ。その後小娘の方から縛りを提言し、俺はそれを承諾した。双方合意の縛りだ。文句の付け所が無いだろう?」
「っ……」
「今もお前の体に呪力が流れ続けている。心配せずともそれで小娘が死ぬことはない。小娘に感謝しろ。滅多なことでお前の呪力が尽きる事は――」
――バキッ!
悠仁は自分の顔の左を思い切り殴った。
「……もう良い、喋んな」
悠仁はそう言って俯いた。
それから宿儺も何も言ってこなかった。
殴った所為で鼻から血が流れ、床にポタリと落ちる。
静かに鼻血を拭う悠仁を五条が見つめる。
「悠仁」
「……大丈夫。どうせコイツに何言ってもAの呪いを解かないだろうし」
悠仁は五条が支えるAを抱えて、ソファーに寝かせる。
じっと寝顔を見て、悠仁が拳を握った。
「こういう場合さ、兄貴として怒って良いんだよな。“何勝手な事してんだ”って。“危ないだろ”って……でも、俺、Aに何も言えない」
自分も勝手な事して、危ない目に遭って、心配を掛けている。
不安にさせている。
言ってしまえば「お互い様」なのだ。
「Aは、自分なりに後悔しない方を選んだと思う」
「……そっか」
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愛菜(プロフ) - 脹相大好きなので妹ちゃんとの絡みが待ち遠しいです…!! (2021年3月31日 4時) (レス) id: 6adb5175f1 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ - すっごい面白かったです!更新頑張ってください!! (2021年3月16日 23時) (レス) id: eb3104731e (このIDを非表示/違反報告)
ムスビ - 最後まで描き続けてください誤字てしまったので書き直しました (2021年3月12日 10時) (レス) id: 7c4a754810 (このIDを非表示/違反報告)
ムスビ - この小説は最後まで続けて欲しいですだから絶対かかったきてください応援しています (2021年3月12日 10時) (レス) id: 7c4a754810 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - ムスビさん» 嬉しいコメントありがとうございます! 頑張ります! (2021年3月11日 22時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2021年1月27日 23時