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休憩を挟みつつ、車を走らせ約2時間。呪霊が発生した現場を訪れた。
今は特に何も残っていないし、新たに呪霊が発生したという連絡もない。
五条はじっと周りを見渡しただけで、すぐに車へと乗り込んでしまった。
手掛かりがない状況のまま、車は次の目的地へと進んで行った。
住宅地が並んでいた風景が、次第に山ばかりになって行った。
東京校の周辺と大差ないな、と虎杖は窓の外を眺めながら思った。
車が停車して虎杖達は車を降りた。
五条はスタスタと進む中、その後ろを虎杖と伏黒はついて行った。
雑草だらけの獣道を進んで行くと、道の両側に石の柱があった。
その前に、五条が立ち止まって、柱に触れていた。
「ここって……」
伏黒が、ぽつりと呟いた。
「伏黒、来た事あんの?」
「いや……初めてだ」
元々ここには家があったのだろう。
古びた表札には名前が書かれていた。
伏黒は少し機嫌が悪そうに、五条に視線を向けた。
「何でここに来たんですか?」
「昨夜特級が出て僕が行った時、微かだけど覚えのある残穢があった。他二件の現場を改めて確認して、僕の仮説は確信に変わった……三件とも、微量だけど同じ残穢だった。僕じゃなきゃ見逃していた」
五条は、「須田」と書かれた表札をそっと撫でた。
「残穢は須田誠一のものだった」
「っ……有り得ないでしょそんなの」
「僕だって信じられないけど事実だよ」
「悪巫山戯ならぶん殴りますよ」
「ちょっ、ちょっと二人共? 喧嘩は止そうっ!?」
只ならぬ雰囲気の二人に、戸惑った虎杖が二人の間に割って入る。
「何か知らねぇけど、そのスダって人、先生達知り合いなの?」
「僕の同期だった男だよ。10年前に死んだけど」
「えっ死っ!? そんなサラッと……つーか、死んだ人の残穢が残るって……あんの?」
「普通は有り得ない。なのにこの人は……」
「だって僕の眼で見たんだって、そう言ってんじゃん」
「だからっ」
「ちょちょちょっ伏黒っ!」
手が出そうになる伏黒を虎杖が慌てて止めに入る。
「恵が苛立つ気持ちは分かるよ。だからこうしてセーイチの実家に来たんじゃない」
そう言って五条は柱の間を通り、進んで行く。
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コメ - いつも面白くて楽しませていただいてます。リクエストですが須田くんが植物トリオの世代軸設定のお話お願いします。 (6月3日 21時) (レス) id: 5747f4fe46 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ - すごく面白くって一気読みしちゃいました!須田がカッコいいです!!リクエストなのですが、学生時代に七海と二人で遠征に行って、大人になってからその思い出話をするお話をお願いします! (2023年1月21日 20時) (レス) id: 4fd0808a54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2023年1月3日 15時