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美々子と奈々子が泣き止む頃、夏油が二人の肩を抱いた。
『夏油、二人の事頼むぞ』
「当然さ、家族だもの……やっぱり、別れは寂しいね」
『お前まで泣くか?』
「平気さ。私の分は二人が泣いてくれたから」
夏油達が離れて、入れ替わりに家入と夜蛾先生が近付いた。
「……行くのか?」
『そうみたいっすね。先生には色々迷惑掛けました。でも、俺は夜蛾先生が先生してくれていて良かったです。でなきゃ俺はとっくに消えてたかも』
「……そうか」
『家入には、体の事色々世話になったな。ありがと』
「私も色々診せて貰えて参考になったよ……今度は跡形もなく消えそうだな」
『残念そうに言うなよ。酒も程々にしろよ』
「善処するよ」
その顔は絶対しねぇな。
なんて思いながら軽く笑った。
五条は目の前に長い足を折り畳んでしゃがみ込んだ。
お陰で表情が良く見える。
『なぁ、五条』
「何?」
口角は上がっているが、露わになった瞳は少し揺れていた。
『……教師、俺もやりたかったよ』
先程までと打って変わって寂しく静かな言葉に、五条は微かに目を見開いた。
「……僕も、セーイチと一緒に先生したかったよ」
『この10年…………お前の雑な教え方で教わった生徒達が心配で心配で』
「おい」
『……でもまぁ、それも杞憂だったな……みんな強い子達で安心した』
「お前なぁ……」
ガシガシと、五条は頭を掻いた。
『これからも生徒の事よろしくな』
「任せてよ」
光に包まれて行く中、須田は安心した様に笑った。
そして、光が弾け、空へと昇って行った。
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コメ - いつも面白くて楽しませていただいてます。リクエストですが須田くんが植物トリオの世代軸設定のお話お願いします。 (6月3日 21時) (レス) id: 5747f4fe46 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ - すごく面白くって一気読みしちゃいました!須田がカッコいいです!!リクエストなのですが、学生時代に七海と二人で遠征に行って、大人になってからその思い出話をするお話をお願いします! (2023年1月21日 20時) (レス) id: 4fd0808a54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2023年1月3日 15時