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「……っ!? おい、どういう事だよっ!!」
何時もなら術式が発動して、跡形もなく消える筈なのに。
五条が六眼で須田を見た。
術式は確かにある。
だが、呪力がもう殆ど残っていない。
治癒は少しずつだが行われている様だが、時間が掛かっているのだ。
その間も、脈がどんどん弱くなっていく。
『……ご、じょう、ごめん……止められ、なかっ、た…………げほっ』
「もう喋んなっ!! すぐに硝子のトコ連れてくからっ!!」
五条は地面を蹴り、森を駆けた。
須田の呼吸音が、風を切る音に掻き消される。
するとその時、くいっと襟首を少し引っ張られた。
『頼む、五条……彼奴、を、止めてくれ……俺じゃ無理だ、から』
「分かったっ俺が止めるからっ……だから、もう――」
『うん……そんでまた、写真、撮ろうなっ』
「っ……」
五条はぐっと唇を噛んだ。
森を抜けると、車の前に家入が立って居た。
五条達を確認して駆け寄って来た。
「硝子頼むっ!!」
「分かったっ! ……っ、これは酷いな……」
須田を見た瞬間、家入が顔を歪ませた。
反転術式が施される中、須田の口が動いた。
『五条……家入……』
「ん?」
「……何だよ」
『夏油、見付けたら……5発くらい、殴っといてくれ』
「分かった、俺と硝子で5発ずつ殴っとく」
『それから……、彼奴の話、聞いて……やって、仲直り、してぇ……』
「……あぁ」
『そんで、また……みんなで、しゃ、しん……』
「撮ろうな、たくさん」
『前、みたいに、4人、で…………――』
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「……セーイチ?」
静かになった須田に、五条が名前を呼ぶが反応は返って来ない。
須田の胸に手を翳していた家入が、手を退けた。
「おい硝子っ……続けろよっ」
「無駄だよ五条……もう……」
家入の両手が、膝の上でぎゅっと拳を握った。
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――記録
――2007年9月 ■■県■■市 山中
――高専生3年 須田誠一二級呪術師、死亡
――周囲一帯で戦闘の痕跡が確認された
――呪詛師 夏油傑の残穢を確認、戦闘があったと断定
――同級、五条悟特級呪術師、家入硝子が発見、のち、死亡を確認
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金平糖 - セーイチ君大好きですwすいません...五条と夏油別で少しピンクなやつみたいです...!応援しています!! (2022年2月26日 0時) (レス) @page41 id: d9f31616d6 (このIDを非表示/違反報告)
びんぬ(プロフ) - とても面白いです! 芸能パロ出来たらお願いします (2022年2月5日 13時) (レス) id: fca2d1816a (このIDを非表示/違反報告)
hina galeliya(プロフ) - ありがとうございます、面白かったです笑 次の作品期待してます! (2022年1月14日 22時) (レス) @page35 id: 6792595ba8 (このIDを非表示/違反報告)
家具が高い - リクエスト分けたんですね!面白かったです! (2022年1月10日 18時) (レス) @page28 id: c06f6fba38 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - セーイチ君死なないでください( ´Д`) (2022年1月9日 12時) (レス) @page4 id: cddd8979ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2022年1月8日 23時