人生万事塞翁が虎 ４ ページ6
「貴様、人喰い虎を知ってるのか？」
「彼奴は僕を狙ってる……殺され掛けたんだ！ 早く逃げないと！」
未だ逃げようとしている敦さんを、国木田さんが腕を掴み、容赦なく床に押さえ込む。
「小僧！ 茶漬け代は腕一本か全て話すかだな」
『ちょっと、国木田さん！ 乱暴は良くありません！』
私が慌てて駆け寄って止めに入ると、落ち着いた口調で国木田さんを宥めながら太宰さんが席を立つ。
そのまま、敦さんの近くでしゃがみ、質問する。
「君はあの虎の何を知っている？」
敦さん曰く、件の人喰い虎は敦が居た孤児院にも現れたようだ。
畑や鶏小屋を荒らされてしまった。
死傷者は出なかったが、孤児院の経営が立ち行かなくなり、口減らしで追い出されたそうだ。
それどころか、その人喰い虎は、敦さんが行く先々で現れていた。
孤児院を出てから2週間、何度も虎の影を見たと云う。
「その虎を最後に見たのは何時の話だい？」
太宰さんの質問に、「4日前に鶴見の辺りで見掛けた」と答えた。
「みっちゃん、虎に関しての情報とどう？」
『あ、はい。確かに2週間前からこの近辺で被害報告を受けています。敦さんが云うように、鶴見での目撃証言も、4日前だったかと』
それを聞いて、太宰さんは少し考えて敦さんに向き直る。
「敦君、これから暇？」
何か企んでいる様な顔の太宰さん。
「君が人喰い虎に狙われているなら好都合だ。虎探しを手伝ってくれたまえ！」
「嫌ですよ！！」
嫌な予感は的中。
人喰い虎を誘い込む為に、敦さんを囮にするらしい。
『太宰さん、いくら何でもそれは酷と云うものでは……？』
「みっちゃん、紙を一枚頂戴」
『……聞いてますか？ 人の話』
溜息を吐いて懐からメモ帳を取り出し、一枚を太宰さんに差し出す。
サラサラと何かを書いて、それを国木田さんに手渡した。
『国木田君とみっちゃんは、社に戻ってこのメモを社長に』
如何やら虎探しは太宰さんたち二人で行うようだ。
国木田さんが何か云おうとしたが、黙ってメモを受け取った。
太宰さんには、何か考えがあっての事だろう。
協力を拒否している敦さんには、報酬の話で釣り、結局敦さんも同行することとなった。
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ネコぱふぇ(プロフ) - ステラさん» コメントありがとうございます。続編・番外編もよろしくお願いします。 (2018年10月9日 23時) (
レス) id: c2e869a79d (このIDを非表示/違反報告)
ステラ - すごく面白かったです。(≧∇≦) (2018年10月9日 17時) (レス) id: 62ccad48f7 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - 美花さん» コメントありがとうございます。喜んで頂けて嬉しいです！ (2018年10月7日 10時) (レス) id: c2e869a79d (このIDを非表示/違反報告)
美花 - 面白かったです。サイコー!(〃^ー^〃)コメントがないのが不思議な位です…。 (2018年10月7日 9時) (レス) id: f78291fe45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ネコぱふぇ
| 作成日時：2017年10月21日 23時
