外つ国からの来訪者 ページ47
少女は、私に気付き一瞬はっと目を見開いたが、すぐに視線を逸らして敦さんの後に続く。
彼女と目が合ったが、先日と少し雰囲気が変わっていたので、特に何も言わず、そのまま席に着いた。
出勤してくるなり、敦さんは太宰さんに詰め寄って叫んだ。
「同棲なんて聞いてませんよっ！」
開口一番何を云い出すのだ。
「部屋が足りなくてねぇ」
太宰さんがそう答えた。
私は不在で知らなかったが、少女――泉鏡花さんはポートマフィアから送り込まれた刺客だった。
しかし、今は探偵社が保護している状態で、昨夜は敦さんの部屋に厄介になったそうだ。
異性を部屋に止めるのに抵抗があるようで、敦さんは渋っている。
「やはりここは、女性の方の所にした方が良くありませんか？ 美月さんとか」
「みっちゃんは、ほら、先日まで出張だったし、帰って来て知らない子が居たら驚くだろう？ それに、分からないかい。、敦君」
渋る敦さんを手招きして太宰さんが真剣な面立ちで云った。
「縁者もいない彼女は、沼の中のように孤独だ。それに、組織の刺客が来るやもしれない」
「……確かに」
「君が守るんだ」
「分かりました。頑張りますっ！！」
そう生き込んで、自分の席に戻る敦さん。
上手い事丸め込まれたようだ。
くるりと向きを変えた太宰さんはしたり顔で笑っていた。
「敦で遊んでいる暇があったら、ポートマフィアに捕らわれた件についての報告書を出せ」
「敦君。私の代わりに報告書を書きたまえ」
「えぇぇ〜……」
「君に懸賞金を掛けた黒幕の話でもかい？」
「っ！ 分かったんですか？」
ポートマフィアに捕らわれていたのは、どうやら情報を入手する為だったようだ。
その結果分かったことは、黒幕は組合(ギルド)と呼ばれる、北米異能者集団の団長だった。
確か、ギルドは都市伝説の類だ。
何故、その団長が敦さんを狙っているかは不明だが、とても大きな存在が動いていることだ分かった。
その時、近くでヘリコプターのプロペラ音が聞こえた。
丁度同じタイミングで、谷崎さんが事務所に飛び込んで来た。
何事かと、そのまま一同は屋上へと向かった。
丁度、屋上のすぐ横を高速道路が走っているが、その道路の上に、黒いヘリコプターが着陸した。
「先手を取られたね」
太宰さんがそう呟いた。
外つ国の御仁は、アタッシュケースを片手に不敵な笑みを浮かべて、降りて来た。
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ネコぱふぇ(プロフ) - ステラさん» コメントありがとうございます。続編・番外編もよろしくお願いします。 (2018年10月9日 23時) (
レス) id: c2e869a79d (このIDを非表示/違反報告)
ステラ - すごく面白かったです。(≧∇≦) (2018年10月9日 17時) (レス) id: 62ccad48f7 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - 美花さん» コメントありがとうございます。喜んで頂けて嬉しいです！ (2018年10月7日 10時) (レス) id: c2e869a79d (このIDを非表示/違反報告)
美花 - 面白かったです。サイコー!(〃^ー^〃)コメントがないのが不思議な位です…。 (2018年10月7日 9時) (レス) id: f78291fe45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ネコぱふぇ
| 作成日時：2017年10月21日 23時
