或る爆弾 ３ ページ13
「小僧、恨むなら太宰を恨め。さもなくば、仕事斡旋人を間違えた己を恨め」
「……て事は、これって……」
視線を太宰さんに向けると、しれっと太宰さんが答えた。
「云っただろ？ ちょっとした試験があるって」
『あの、大丈夫ですか？ とりあえず、お疲れ様です』
「美月さんも知ってたんですか！？」
私の方へと視線を送る敦さんに、国木田さんが答える。
「いや、美月には知らせとらん。今日は非番だった……はずだが、美月、何故来た？」
今更、国木田さんからそんな質問を投げ掛けられ、私は溜息交じりに、隣の太宰さんを見上げた。
『太宰さんに無理やり連れて来られました』
「だって〜、仲間に入れて欲しそうに、ドア越しから覗いていたじゃないか。仲間外れにしたら、可哀想かと思って」
『別に、仲間外れにされたとか、そんなこと思ってませんから』
「何だい？ 自分だけ話が無かったから拗ねてるのかい？」
『……拗ねてません』
私がそっぽを向くと、楽しそうに横から太宰さんが頬を突いて来る。
「ムクれちゃって〜このこの」
『や、止めてくださいっ！』
太宰さんの指を掴んで突かれるのを止めていると、敦さんは呆れ顔で呟いた。
「……つまり、入社試験？」
「その通りだ」
ずっと聞いていたのだろう、奥の部屋から武装探偵社社長――福沢諭吉さんが現れた。
「――それで社長、どの様なご判断を？」
国木田さんの問い掛けに、しばらく沈黙する社長。
「……太宰に一任する」
「お任せください」
そう云って、太宰さんは敦さんに振り返った。
「武装探偵社にようこそ、中島敦君」
『入社おめでとうございます』
皆でお祝いの言葉を投げると、自分には無理だと、敦さんが云う。
それを聞いて、太宰さんは半ば脅迫じみたことをつらつらと続けた。
社員寮を引き払った後、友達も知り合いもいないと、仕事を探すにも骨が折れそうだ。
しかも、お尋ね者の人喰い虎と云うので、バレたら仕事どころではない。
良くてクビ、最悪捕まって射殺されかねない。
「――この探偵社なら、話は別だけど」
あぁ、何て悪い顔だろう。
隣で太宰さんを見てから、私は敦さんに視線を向けた。
『敦さん、最悪は避けましょう』
「……それって」
「よろしくお願いしますわ、敦さん」
「規則は守れよ、小僧」
「じゃあ、そう云う事で」
「そんな〜」
そんなこんなで、中島敦さんは、正式に武装探偵社の一員になりました。
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ネコぱふぇ(プロフ) - ステラさん» コメントありがとうございます。続編・番外編もよろしくお願いします。 (2018年10月9日 23時) (
レス) id: c2e869a79d (このIDを非表示/違反報告)
ステラ - すごく面白かったです。(≧∇≦) (2018年10月9日 17時) (レス) id: 62ccad48f7 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - 美花さん» コメントありがとうございます。喜んで頂けて嬉しいです！ (2018年10月7日 10時) (レス) id: c2e869a79d (このIDを非表示/違反報告)
美花 - 面白かったです。サイコー!(〃^ー^〃)コメントがないのが不思議な位です…。 (2018年10月7日 9時) (レス) id: f78291fe45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ネコぱふぇ
| 作成日時：2017年10月21日 23時
