さんじゅさん！ ページ33
No side
雲がまだらに流れ、満天の星と慎ましやかに光を帯びる月が薄暗く鬱蒼とした森を神秘的に照らしている。
オスマンは図書室のバルコニーから、そんな森の中を眺めていた。
その視線の先には、軽やかに森を駆け抜けるAとその後を追うゾムの姿がある。
gr「さっきから、何を見ているんだ？」
os「……別に。」
gr「…大方、Aだろう？」
os「あんな子連れてきて、どういうつもりなん？」
グルッペンは本に目を滑らすのをやめ、わざとらしく顎に手を添え、考え事をする素振りをしてみせた。
gr「"あんな"子、とは具体的に？」
os「あの子、歩く時に足音がしないの知ってた？」
gr「……そうだったか？」
os「しかも、服の布ズレの音さえもほとんどしないんやで。」
オスマンとAが対面していた時間はわずか数分である。
その間、オスマンはAと話をしていなかったというのに、よく見ているものだとグルッペンは内心冷や汗をかいた。
os「明らかに一般人ではないね？」
gr「まぁ……くられ先生の知り合いなのだから、多少一癖も二癖もある人物なんだろう。
そんな親に育てられれば特殊な癖も身につく」
os「………。」
どんなに問い詰めたところで、グルッペンはあくまでも友人の知り合いの子供を居候させただけで、娘の素性までは知らないという体で嘘を貫き通すつもりだ。
オスマンもそんなグルッペンの余裕の表情に、問い詰めるだけ無駄だと感じ取り、口をつぐんだ。
森の中に目を戻すと、ゾムがAから離れて行くところだった。
目を離してる間に何かあったのだろう。
ゾムの手には何故か小さなナイフが握られている上に、Aはそんなゾムの後ろ姿を神妙な面持ちで見つめていた。
言いようのない不安が、体を走り抜けた。
その視線に気づいたのか、Aが顔を上げた。
恐ろしいほどの察知能力。
只者ではないことだけは確かで、それがオスマンの不安をさらに大きく煽った。
明日、くられに娘の親はどんな人物なのかを問い詰めようと心に決め、オスマンはただAが城に戻ってくるのを見ていた。
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きつね君。(プロフ) - とても面白いですね！！あの…少しお伺いしたいのですが、この小説の続編はどこにありますでしょうか？まだ作成中ならいくらでも待たせていただきます…!! (2022年6月27日 22時) (
レス) id: f4cd021470 (このIDを非表示/違反報告)
黒餅(プロフ) - グリノワさん» うわぁ、ありがとうございます！確認はしてるつもりなんですけどね……(笑) 更新と一緒に誤字は直させてもらいます！高評価ありがとうございます！ (2020年12月14日 0時) (レス) id: 3607c43e22 (このIDを非表示/違反報告)
グリノワ(プロフ) - 黒餅さん» あ、どもです。すごく面白いですね！高評価させてもらいました！健康には気をつけてくださいね〜！あと、ページ30のところのutさんのセリフ催促が最速になってました！では、更新楽しみにしてます！ (2020年12月13日 21時) (レス) id: 99844850a9 (このIDを非表示/違反報告)
黒餅(プロフ) - 飴さんさん» 心配されるようなことした覚えないんですけどねw元から不健康だし…(ﾎﾞｿｯ) 更新頑張りま〜す^ - ^ (2020年11月28日 16時) (レス) id: 3607c43e22 (このIDを非表示/違反報告)
飴さん - 体の心配がすごいｗ ゆっくりでもおｋですので更新頑張ってください （空気読んで下に同じくのほうがよかったのでは？…まぁいっか）人いないとやばい人とかいそうじゃないですか？ (2020年11月28日 10時) (レス) id: 114111ca89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒餅 | 作成日時：2020年9月4日 15時
