One ball concentric.

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Side.森




ライナーでスタンドまで突き刺したホームランに、
甲子園は割れん程の歓声に揺れてる

轟く様な応援の声が一瞬だけ消え去って、
その瞬間静かに微笑む姿は勝利の女神か、それとも悪魔か





ダイヤモンドを1周する姿がほんのちょっとだけ、
俺の良く知ってる昔のアリスちゃんに重なった。






森「あぁー、まじで腹立つ」


思わず出てしまった本音に隣に居たラオウさんが驚く様な顔をしているけど、それに返す言葉もないままに再び本音がこぼれた。


森「無茶苦茶やん、あの人……」






あまりにも強い光は見てる人を焦がす

野球選手かってスター性があるとかないとか言うけど、
あの人は紛れもなくそれであって
そんな事、今更分かった訳やないし 、
何ならずっとずっとその背中を見てきたから知り尽くしてる






勝利の女神でも、悪魔なんかでもない
ただ、野球という世界に身を置いて必死に戦ってるだけ






度を超えた負けず嫌いも、
勝利に対する執着も、
そんなもの周りには上手く隠れて見えないはずやのにな










"全部勝つから"



いつだって思い出すんはその言葉を口にしてた懐かしい記憶


何を言われ様が自分を曲げない
ただ貪欲に勝利を渇望している

その姿がどれだけ魅力的で眩しいのか
本人は絶対自覚してないし、興味すらない



森「……すごいなぁ、アリスちゃん」





あの人が勝つ姿を見ていたい
これから先もずっと











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