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「っ、翔平?」
普段なら適当なことを言って振り払うかもしれないけど、
そんな風には出来なかった。
大谷「……ごめん、何でもない」
「嘘つけ、そんな顔で言われても説得力無いわ」
大谷「…藤浪と電話してたでしょ」
「せやけど、よう分かったな」
大谷「分かるよ、Aの表情見てれば分かる」
"いつも藤浪と居る時そんな顔してるから"
何か言いたそうに、じっと堪えるようにそう言った翔平の真意は分からないけど何となく理解は出来た。
「うん、私は晋太郎に依存してるからね」
自然と出た言葉に少しだけ笑いが零れた。
対照的に目を大きくする翔平にもたれ掛かる様にして話した。
「高校の時の監督だった西谷先生も、
これまでタイガースで指揮を執ってきた監督も、
私を指導してきた人はみんな口を揃えてそう言った」
初めてそう言われた時、自覚はなかった癖に随分と自然に私は納得してしまった。それだけ思う節があったから。
「晋太郎がメジャーに行く事が決まって私は侍ジャパンに選出された。初めてお互いの目指すものの為に違う道を歩むことになった」
何も迷うことなんて無かった。
結局見据えてる先はいまも昔も同じ。
だから私は自分の道を歩き出した。
「こんな事、普段なら絶対言わへんけど
ほんのちょっとだけ、不安に思ってたんかもしれん
でもこのチームやったから大丈夫やったよ
結局、私は野球が好きやから
一緒に戦えてる今が1番幸せやで」
"同じように翔平も楽しそうにしてるから"
無意識に素直な感情にブレーキをかけてたのかもしれない。
特例で甲子園に出たから、
プロの世界に入ったから、
女だから。
無責任に投げられる言葉は腹の底で蓄積されいつの日かそれが当たり前となり、大好きな野球の中で生まれる感情すらもすり抜けて幾度も落としてきたのかもしれない。
「栗山監督に聞いたよ
翔平が私を世界一に必要だって言ってくれたこと
ありがとう、また私に野球の楽しさを教えてくれて」
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まめだいふく(プロフ) - ココさん» コメントありがとうございます。今後のお話の中で書いていこうと考えていましたのでお時間掛かるかもしれませんが気長にお待ち頂けたらと思ってます。 (12月8日 23時) (レス) id: da2dc5ac0c (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふく(プロフ) - 大阪谷さん» コメントありがとうございます。今後ともお楽しみ頂けましたら何よりです。 (12月8日 23時) (レス) id: da2dc5ac0c (このIDを非表示/違反報告)
ココ(プロフ) - とっても面白くて2周してしまいました🥹🥰もし可能でしたら藤浪選手とのお話もいつか見てみたいです! (12月1日 8時) (レス) @page30 id: ffcb459d95 (このIDを非表示/違反報告)
大阪谷 - えぐいおもろいです! (11月26日 19時) (レス) @page26 id: 382b1b8271 (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふく(プロフ) - もちひじさん» コメントありがとうございます。引き続き楽しんで頂けたら幸いです。 (11月20日 17時) (レス) id: da2dc5ac0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まめだいふく | 作成日時:2023年11月14日 13時