One ball concentric.

#消化しきれない ページ21

Side.Ohtani



劇的な試合を制し、決勝を翌日に控えた夜。
未だに興奮冷めやらぬ雰囲気のままそれぞれに休息をとっていた。




大谷「あれ、Aは？」


近藤「電話しに出てたったよ」


ロビーに居るんじゃない、と聞いて追いかけるようにAを探した。話したいことも沢山あるし、何となく一緒に居たいと思ってたから。




ロビーの突き当たり、見間違えるわけないその後ろ姿を見つけていつもの様に名前を呼びかけたがでかかっていた声をぐっと堪えた。


楽しそうに話しながら時折魅せるその笑顔から目が離せない。
だけど、そんな表情を浮かべながら話をする相手が嫌でも一瞬で理解出来てしまう。





これは嫉妬だ。





一度自覚してしまえば、膨らむばかりのその感情は上手くコントロール出来ない。
そんな表情、俺には見せてくれないじゃん。







ずっと振り回されっぱなし。
それは初めて出会った時からそうだった。

お世辞にも人当たりのいい性格とは思えない。
初めて出会った時は尚更そういうイメージを持ってた。
酷い言葉を理不尽にぶつけられようが涼しい顔してるのが全く理解出来なかった。なんでそんな気にもとめないんだろうって。


なのに、本当に楽しそうに野球をするんだ。
その姿が素直に尊敬だった。


強引に一方的に距離を縮めて親しくなってから、
もっともっとAのことを知りたいなあって思って。





だけど、絶対に越えられない何かがあるんだろうな。







「あれ、どうしたの？」



大谷「A」



このまま連れて行ければいいのに。





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