One ball concentric.

#鮮明な記憶 ページ19

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長い時間のフライトを終えてマイアミの地に立った。
日本とは違う射し込むような強い日差しがどこか心地良い。凝り固まった身体に新鮮な空気が入り込めば、見据えるものは明確になった。



"懐かしい"



飛行機の中で甲斐さんと昔の話をしていたからだろうか。
試合に出る自分達以上に周囲に勝つことを信じられ、大きなプレッシャーとして背中にのしかかっていたあの頃と同じだ。

背負うものの重さよりも、楽しさの方が私の中で勝ってる。
こんな事を口に出せないけれど猛烈にこの状況を楽しめてる、この場所に居られるのが心地良い。







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ダル「あ、アリスもランニング？」



各自でコンディションを整えている中、走りに行こうと軽く柔軟をとっていれば後ろからダルさんに声をかけられた。



ダル「改まって話するの新鮮だね」


「ダルさん人気ですから」


ダル「それはアリスの方でしょ？」


「特定の誰かに捕まってるだけです」


それもそうかと笑いながら話すダルさんも同じように柔軟を始めた。


ダル「…アリスさ、楽しんでるでしょ」


「え？」


ダル「何となく、あんまり表情に出さないけど
試合を重ねる度に楽しんでるように俺は見えるかな」


「そう言われるとその通りですね」


ダル「緊張してないの？」


「"勝たなければならない"

そのプレッシャーは私にはあまり自覚としてはない、
そもそも負けていい試合なんて今までもこれからも一度だってないですからね、より自覚出来る今の環境は居心地が良いんです」


ダル「ははっ、それは頼もしいなぁ」





最強だの最高だの常勝だの。
一方的に向けられては捨てられてきた。


「試合の結果とか審判のジャッジ、対戦相手の行動、それらは自分でコントロール出来ないもの

コントロール出来るのは自分の思考と行動だけ

やらなければならないことはわかってるので」







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