One ball concentric.

#在るがままに ページ14

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韓国戦での死球の影響から脇腹の肉離れを起こした私は大事をとってチェコ戦でのスタメンを外れた。
とは言えコンディションが悪い訳では無いし怪我の影響も最小限、後半から試合に出る予定ではある。




栗山「アリス、状態はどう？」


「平気です、
痛みはありませんし可動域も変わりありません

いつもよりアップに時間かけられるので後半出られます」


栗山「なら良かった」




韓国戦の後、私を取り巻く環境は少しだけ変化した。
強引に距離を詰めてきた由伸はそうだし、それを見て遠慮してた年下組も今までよりグイグイ声掛けて来るようになった。また、批判だらけだった周囲の声も一時的な同情かもしれないが軟化したように思えた。


だからか分からないけれど、
私自身も少しだけ何かが変化してる気がする。








「朗希」


佐々木「アリスさん…」



ひとりじっと何かに耐えるように座っていた彼に声を掛けた。



佐々木「怪我、平気なんですか？」


「うん、大丈夫

でもスタメンじゃないからバックで朗希のこと守ってやれないけど、それはまた次の試合まで持ち越しってことでお願い」


佐々木「いや、はい

こちらこそお願いします」


何処か思い詰めるような返答をする朗希の頭を思わず撫でた。



佐々木「アリスさん？」



「"全部勝てばいい"

高校の時に言われてからずっとそうなる為にやってきたつもり
私は優しくないし気の利いた言葉を言えるほどの器量は無い

でも自分のことなら言える



必ずこのチームを勝たせる」


これは強がりでも自分にかけるプレッシャーでもない。
紛れもない、今の私が言える事実だ。



佐々木「…まだ自分が小さい時からアリスさんのこと知ってました

甲子園で活躍してるアリスさんのこと凄いなって思って見てました。だから信じてます、アリスさんのこと」



「…うん、私もこのチーム信じてる

だから思っきり投げてきな」



佐々木「はい」






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