浮気1 ページ1
〜貴方side〜
高校を卒業するタイミングで黒尾鉄朗から告白をされた。
男からの告白に正直驚いたけれど、一番仲の良かった鉄朗からの申し出に俺はあっさり頷いた。
付き合い出した当初は順調だった。
別々の大学に通うこともあり、学校とバイトでなかなか会うことが出来ないけれど、それでも連絡を頻繁に取り合い、予定を合わせては、少しでも顔を見るようにした。
たまに行くデートも、
アイツの試合の応援も、
夜の電話も、
わりと楽しくて、幸せだった。
なのに、何時からだろう。
合鍵を使い、慣れた部屋に入る。
玄関には見慣れた靴と、その隣に乱雑に脱ぎ捨てられた女物の靴。
「ーーーぁ、」
そして、寝室から聞こえる乱れた女の声と
「ーーーマジで最高」
快感に満ち溢れた男の声。
あぁ、またか。
そんな事を思いながら、靴を脱いで部屋へと上がる。
寝室の前を通り過ぎ、先にリビングの机に荷物を置く。
此処まではいつも通り。
けれど、今日の俺は一味違う。
ポケットから取り出した、Bigサイズのマイバックを取り出し広げる。
そして、
リビングに置かれている自分の私物の回収作業を開始する。
こうやって浮気現場に遭遇するのは、これが初めてではない。
最初は大学入学して半年。
理由を聞けば、女も知っておきたかった。
いや、クズかよ。
そして、二回目はそれからすぐ。
理由は誘われたから。
うん、黙れ。
その後は、もう流れるように浮気が続いた。
最初の頃はこの現場に遭遇する度に傷ついたし、その度に鉄朗に怒鳴り散らした。
お前から告白してきたんだろ。
最初から男だって分かってたはずだろ。
あれだけ好きだって、言ってたくせに。
届いているのか分からない、そんな言葉をアイツにぶつけた。
けれど、人間の慣れというのは恐ろしいもので、今では浮気現場に遭遇しても何とも思わなくなった。
たぶん。
ただ、少し。
胸の奥が締め付けられる感じがするけど、
それはきっと気のせいだろうと思う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 385人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒輝 累(プロフ) - mikittyさん» 嬉しいです！！！高評価＆お気に入りありがとうございます！これからも宜しくお願いします！ (3月5日 19時) (
レス) id: 915107712a (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - お気に入りと高評価しておきました！またの更新楽しみにしております！ (3月5日 16時) (レス) id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
