クロと彼女12

21. 〜帰る場所〜 ページ45

「んっ…」



目を覚ますと、見慣れた天井が見えた。




「私の部屋…」



目の前でユラユラと尻尾が揺れ、隣を見ると黒猫が丸まっている。




「クロ…？」


「んっ……起きたかA？」



クロは彼女の声に目を覚まし大きな赤い瞳でその顔を見つめた。





「体調は大丈夫か？」


「大丈夫。クロがベットまで運んでくれたの？」


「おう。急に倒れるからビビったぞ…」



クロはそう言って彼女の頰にすり寄った。彼女もくすぐったく感じながらも頰をすり寄せる。人から見れば猫と少女の微笑ましい光景に見えるだろうが、2人にとっては恋人同士の愛しい触れ合いである。




「クロ、起きよっか」


「おー…」


「着替えるから先に行っててね」


「んー…」



クロがポテポテと歩いて出て行ったのを見て、服を脱ごうとした時、ポケットの中からくしゃりと音を立った。何かと思い取り出すと椿からもらった券。




「そうだった…」



それを鞄に突っ込むといつもの服に着替えた。



ーーーーー




「真昼くん、今日友達とお食事してくるから夕飯は私の分はいいよ」


「そうなのか？楽しんでこいよ！」


「うん…」



出る直前に真昼にそう伝えて了解をもらい、最後にクロの方へ振り返った時、勢いよく腕が引かれクロの足の上へダイブした。



「へぶっ！…もークロ痛いよ…」



顔を上げるとクロの目が大きく見開かれ自分の方を見ていた。



「誰とだ…」


「えっ…」


「誰と行くんだ…」





クロには全て見透かされているようで、何を隠し事しても無駄なら話してしまおうかと思ってしまう。だが、彼女はグッと口をつぐみ笑顔を浮かべた。




「お店に来てくれるお客さんだよ。女の人だよ」


「…っ！……そうか…」



クロは諦めたように手を離しため息を吐いた。





「これだけは言わせてくれ……お前の帰る場所はオレの、オレ達のところだ」


「クロ……うん、分かってるよ」



彼女は笑顔でうなづき、いってきますと言って扉を閉めた。




〜〜〜〜〜
11巻買ってきましたよ！アニメイト限定版なのでカレンダーとかっこいい御国さんのカードつき！！
ジーン買ってるので内容は知ってるのですが、ところどころ修正されてたり絵がより鮮明になっててまた新しい感じで読めました。裏表紙も最高に面白かったですし笑
ぜひ皆さんも購入して読んでみてくださいね！

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