番外編 メリークリスマス！5 ページ41
パーティーは大盛り上がりだった。
喧嘩が始まったりゲームをしたり、罰ゲームをしたり…店の中は笑い声で包まれた。
「また来年も呼んでくれよ！」
「楽しみにしてっからなー！」
「はーい！ありがとうございましたー！」
一般のお客さんは帰り、店の中に残ったのは彼女の仲間たち。御園やリヒトはすっかり眠ってしまい、真祖に支えられている。かと言えば、ヒューは鉄の膝の上で寝息を立てていた。真昼は真昼らしく、店の片付けを手伝ってくれている。
彼女も片付けに戻ろうとした時、クロがその手を掴んだ。
「A、ちょっといいか？」
「クロ？私、片付けを手伝わないと…」
そうは言ったものの、この手を跳ね除ける勇気はない。本音を言えば、クロの要望に応えてあげたい。
そう思っていた時、トンと背中を押された。
「行ってこい！クロ、A！」
驚いて振り返れば、真昼が俺に任せろと言わんばかりに笑っている。この太陽のような笑顔には敵わない。
「うん…ありがと、真昼くん！」
彼女はクロの手を握り返し、一緒に店の外へ出た。
「雪止んでるね…」
「A、じっとしてろよ…」
「え？…キャア！？」
クロは彼女をお姫様抱っこしてジャンプして屋根の上に登った。そのまま跳躍しながら屋根の上を飛び越えていく。
まるで、300年前のあの日のようだった。
「どこに行くの？」
「着いてからのお楽しみ…目、閉じてろ」
「うん…」
うなづいて素直に目を閉じる。クロの首に手を回し抱きつくようにその胸に擦り寄った。ビュンビュンと吹き抜けて行く風は冷たく、太ももに添えられている彼の手も冷たい。ポケットにしまったままのプレゼントを早く渡してあげたかった。
「着いたぞ…」
そう聞こえて目を開くと、飛び込んできた景色に目を輝かせた。
「わぁ〜！！綺麗な夜景！！」
街の灯りやイルミネーションが輝き、車のライトさえもその美しい夜景の仲間入り。キラキラして、街全体が宝石箱のようだった。
「すっっごく綺麗！とっても素敵！！」
「喜んでるならよかった…」
クロはそう言って彼女を抱いたまま胡座をかいて腰を下ろす。
「クロ、ここどこなの？すごく高いけど…」
「スカイツリーの展望デッキの屋根の上」
「スカイツリー！？」
そんな高いところまで来たのかと驚いた。自分を抱えたままそんな所まで来てしまう怠惰の真祖に憧れの眼差しを向ける。やっぱりこの人は吸血鬼。
番外編 メリークリスマス！6→←番外編 メリークリスマス！4
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 28人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星歌(プロフ) - 箱庭さん» 何故か謎の人気っ…笑 今から楽しみにしてますよ笑 (2017年12月31日 22時) (
レス) id: 6f03f41f00 (このIDを非表示/違反報告)
箱庭 - 星歌さん» リナリアさん、好きですよ！ ３月ですか！ありがとうございます！！お年玉(もらえれば)貯金しておきますね(ー∀ー*)よいお年を〜！ (2017年12月31日 17時) (レス) id: 01beeaad7a (このIDを非表示/違反報告)
星歌(プロフ) - 箱庭さん» リナリアお気に召したでしょうか？(*´∇｀*) 12巻発売までまだ時間あるので大丈夫ですよ！3月の予定だそうです！！ (2017年12月30日 21時) (レス) id: 6f03f41f00 (このIDを非表示/違反報告)
箱庭 - リナリアさんキターーーー！……… うぅ…金欠で12巻買えないいいい…泣 (2017年12月30日 20時) (レス) id: 01beeaad7a (このIDを非表示/違反報告)
星歌(プロフ) - 箱庭さん» 大丈夫ですよ！「ぁー！！」って伸びてるなーって思ってちょっと笑いました笑 (2017年12月25日 21時) (レス) id: 6f03f41f00 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星歌 | 作成日時：2017年12月2日 19時
