番外編 メロメロ吸血鬼現る!?14 ページ34
(かわいい…)
理由を問いただすはずが、思わずそのかわいらしい顔に触れたくなり、ぷにっと押すと嫌がるように首を振る。
「怒ってんじゃねーか…」
「怒ってない、もんっ…!」
瞳に涙を滲ませる彼女。そんなつもりはなかったのだが、泣かせるような形になってしまい焦る。
「あー…A泣かないでくれ…」
「泣いてないっ…」
「意地になるAもかわいいぞ…」
「…あのね、クロがリナリアさんにキスされたの見て…モヤモヤして、ぐるぐるしてドロドロして…心が気持ち悪くなって…。だんだんムカムカもしちゃったの。ごめんね、クロごめんねっ…」
謝る彼女を見てクロはキョトンとする。彼女はこの感情の名前を知らないようだ。
「A、それは嫉妬だ…」
「え?うそっ…ごめんなさい、嫉妬なんて…私そんな勝手にっ…」
危機感、焦り、不安、怒り…いろいろな感情がごちゃ混ぜにされミキサーにかけられた感じ。
嫉妬をすれば相手を傷つけてしまうと聞いた。
(今私はクロを傷つけちゃったのかな…?)
不安になりながら顔を上げると、そこには予想とは違った表情が見えた。
「やっと嫉妬してくれた…///」
呟く声は嬉しそうで、その表情は頰を染め目を細めて笑っている。なかなか見ることのない、その表情。
「嫉妬ってダメな感情じゃないの?」
「極端なのは嫌だけどよ…今はめちゃくちゃ嬉しい///」
「嬉しいの?」
「おう…オレだって嫉妬するし…お前取られたくねーから」
「クロっ…///」
もうムスッとした顔はなく、嬉しそうな笑顔がそこにあった。
(私もクロが嫉妬してくれて嬉しいっ…)
「クロ、私もほっぺにキスしていい…?///」
「おう、Aなら大歓迎だ…」
キスしようとした彼女だったが、2人の身長差では目一杯背伸びしてもクロの頰には届かない。それでも頑張って背伸びする姿がかわいくクロが笑っていると、それに彼女が気づきプクッと頰を膨らませる。
「悪かったって…」
「リナリアさんは届いたのに…」
「小さい方がオレは好きだ…」
クロはそう呟いて額にキスを落とすとまた歩き出した。
「えぇー!クロさせてくれないの!?」
「んー…またな…」
(これ以上はオレの我慢が限界だから…///)
残念そうにする彼女の手を握り、一番星の輝く夜空の下帰って行った。
嫉妬という感情も、彼女からなら向き合えなくもない…そう密かに思いながら。
ーメロメロ吸血鬼現る!?終了ー
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星歌(プロフ) - 箱庭さん» 何故か謎の人気っ…笑 今から楽しみにしてますよ笑 (2017年12月31日 22時) (レス) id: 6f03f41f00 (このIDを非表示/違反報告)
箱庭 - 星歌さん» リナリアさん、好きですよ! 3月ですか!ありがとうございます!!お年玉(もらえれば)貯金しておきますね(ー∀ー*)よいお年を〜! (2017年12月31日 17時) (レス) id: 01beeaad7a (このIDを非表示/違反報告)
星歌(プロフ) - 箱庭さん» リナリアお気に召したでしょうか?(*´∇`*) 12巻発売までまだ時間あるので大丈夫ですよ!3月の予定だそうです!! (2017年12月30日 21時) (レス) id: 6f03f41f00 (このIDを非表示/違反報告)
箱庭 - リナリアさんキターーーー!……… うぅ…金欠で12巻買えないいいい…泣 (2017年12月30日 20時) (レス) id: 01beeaad7a (このIDを非表示/違反報告)
星歌(プロフ) - 箱庭さん» 大丈夫ですよ!「ぁー!!」って伸びてるなーって思ってちょっと笑いました笑 (2017年12月25日 21時) (レス) id: 6f03f41f00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星歌 | 作成日時:2017年12月2日 19時