クロと彼女12

番外編 メロメロ吸血鬼現る！？11 ページ31

「どうして…どうして私の虜にならないのよっ！！」


「オレは真祖全員に兄ちゃんだぞ…向き合えねー…」


「ありえない！！もう一度術をっ…」



術をかけようとしたリナリアだったが、クロと彼女の放つ殺気にその手をすぼめた。



「人質のいないお前が勝てるとでも思ってんのか？」


「うっ…」



リナリアは崩れ落ち、悔しさからか身を震わせていた。そんなリナリアに彼女は近寄る。



「リナリアさん、もうやめよ？これ以上恋人たちの関係を裂くような真似しちゃだめだよ」


「うるさいうるさい！！あんたに私の何が分かるって言うのよ！！私がどれだけ…私がっ…！」



怒鳴り出し、今にも噛み付いてきそうなリナリアからクロは彼女を守るように遠ざけようとする。だが彼女がその手を止め、大丈夫と笑ってみせた。



「リナリアさん、どうしてこんなことをし出したのか教えて。話し合わないと、お互いのこと分からないままだよ」


彼女の言葉に、リナリアは堪えていたものを吐き捨てるように話し始めた。


ー語り(リナリア)ー


まだ人間だった頃、私はこの赤い髪のせいでいじめられてた。不気味とか異質とか、魔女の子じゃないのかとか言われたわ。生まれつきなんだからしょうがないじゃない…でも周りがそう言うから、だんだん両親まで私のことをうとましく思い始めてた。当時に髪を染めるなんてものはなくって、今とは違って髪色なんて変えられない。

それでも私はある人に恋したの。こんな私にも優しくて、素敵な人だった。初恋だった。思い切って告白したの…でも、『君の髪が赤くなかったらいいんだけど』って言われて…私はその日、川に飛びこんで死んだ。耐えられなかった。この赤い髪のせいで好きな男とも恋人になれない…私は死を選んだのよ。

でもあの真祖が私に手を差し伸べた。そしてチャンスをくれたの。今まで私のことを散々悪く言ってくれた奴らに復讐するチャンスをね。


私に宿ったのはコンプレックスを強さに変える能力。この髪で攻撃もできるし、何より死ぬ理由になった男を簡単に虜にできるフェロモンを出せるようになった。

でも復讐だけじゃ足りなかった。それだけじゃ私の苦しんだ心は満たされない。だから恋人を持つ…特に美人な女を狙ってその恋人との縁を裂いてきたわ。でも、何人の恋人たちを裂いてきても、私の心は満たされなかった…。


ー語り終了ー

〜〜〜
クロに術が効かなかった理由は一応あるのですが、うまく説明できず…すみません…！

番外編 メロメロ吸血鬼現る！？12→←番外編 メロメロ吸血鬼現る！？10

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す