21. 〜雨と赤〜 ページ13
「ったく…クロがAの邪魔するから目玉焼き焦げたんだぞ」
「ま、真昼くん…私のせいだからクロを責めないであげて…」
すっかり黒くなった目玉焼きを口に運びながら怒る真昼に彼女がクロを庇う。クロは悪かった悪かったと適当に返しながら、彼女に塗ってもらったジャムトーストを食べた。
「まあ今回は勘弁してやるよ。ごちそうさま」
「ありがとう真昼くん、ごちそうさま」
2人の方が先に食べ終わり、パタパタと学校と仕事に行く準備を始める。クロはのんびりと食べ終わると丁度喫茶店の制服を鞄に入れている彼女を背後から抱きしめた。
「ひゃあ!///……クロ、今日は朝から甘えたさんだね///」
「ん……お前限定…」
「星占い見なくていいの?そろそろ真昼くんも出る頃だと思うよ」
「もうちょっとこうしてたい…」
「んー…でも私も準備したいなー」
「んー…でもオレはAに抱きついてたいなー」
「もー…///」
彼女は困ったように笑ってクロの方へ向き直った。
「帰ったらクロの好きなテレビ一緒に観よ。その時いくらでも抱きついてていいから、クロも真昼くんと学校行こっか」
「えー…」
「ね?」
彼女の上目遣いにクロは渋々うなづいた。
ーーーーー
「Aちゃーん、注文お願ーい」
「はーい!」
この日の午後は一段と忙しかった。雨が降っているのもあってか、吸血鬼の客も人間の客も多く息をつく暇もない。
(今日ヨハネス博士のところに行かなきゃだから早目に抜ける予定なんだけどなぁ…でも抜けちゃったらみんな困るだろうし…)
「A!これ3番テーブルに!」
「はーい!」
(クロの手も借りたい…なんちゃって。あ、私も猫か…)
そして時間はあっという間に過ぎていき、店を出たのは予定よりも1時間遅い4時だった。
雨の中、傘をさしながら少し急ぎ足で駅まで向かう。
(クロの観たいテレビが始まるのが6時半からで…ヨハネス博士の実験が約1時間だから…次くる電車に乗れば余裕で行けるね)
時間を確認して急ごうと前を向いた時、ザーザーと降っていた雨が急にシトシトと弱い雨になった。
「えっ…?」
驚いて辺りを見渡すと自分以外通行人がおらず、周りが赤くなっていることに気がついた。
「なん、で…」
ーーコン、コン
その時下駄の音が辺りに鳴り響いた。聞き覚えのある音に目を丸くする。
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星歌(プロフ) - 箱庭さん» 何故か謎の人気っ…笑 今から楽しみにしてますよ笑 (2017年12月31日 22時) (レス) id: 6f03f41f00 (このIDを非表示/違反報告)
箱庭 - 星歌さん» リナリアさん、好きですよ! 3月ですか!ありがとうございます!!お年玉(もらえれば)貯金しておきますね(ー∀ー*)よいお年を〜! (2017年12月31日 17時) (レス) id: 01beeaad7a (このIDを非表示/違反報告)
星歌(プロフ) - 箱庭さん» リナリアお気に召したでしょうか?(*´∇`*) 12巻発売までまだ時間あるので大丈夫ですよ!3月の予定だそうです!! (2017年12月30日 21時) (レス) id: 6f03f41f00 (このIDを非表示/違反報告)
箱庭 - リナリアさんキターーーー!……… うぅ…金欠で12巻買えないいいい…泣 (2017年12月30日 20時) (レス) id: 01beeaad7a (このIDを非表示/違反報告)
星歌(プロフ) - 箱庭さん» 大丈夫ですよ!「ぁー!!」って伸びてるなーって思ってちょっと笑いました笑 (2017年12月25日 21時) (レス) id: 6f03f41f00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星歌 | 作成日時:2017年12月2日 19時