クロと彼女12

番外編 半年記念！2 ページ2

傷をゆっくり治しながら、公園で冷たい雨にうたれていると、誰かが近寄ってきた。軽く顔を上げると、赤い瞳が見えた。




「クロ…？」



あの人にしては身長が高すぎる。あの人じゃない。

そう思って目を閉じようとした時、私の手に何か握らせてきた。見ると、それは赤い実。
一口かじってみると、甘みが口の中で広がった。




「ありが、とう…」




この果物はなんですか？そう聞こうとした時、遠くから誰かがその人を呼んでいた。




"そんなとこで何してんの？行くよーー"




名前は雨の音にかき消され、聞こえなかった。その人は頭を撫でてくれて、どこかに行ってしまった。






朝になってまた歩く




歩く




歩く




あの人はどこにもいない。





「クロ…」




あの人がいない世界はモノクローム。色のない世界。あんなに彩られた世界が、あの人がいないだけで色がなくなった。


私にあるのは赤い血の色だけ。






「お腹…すいた…」




あの赤い実はおいしかった。食べ物の味を思い出させてくれた。


何か、食べたいな…。







ーードサッ




倒れた。足がもう動かない。過ぎ行く人の目が痛い。色のない人たちからの目が痛い。







"大丈夫ですか！？"





大きな声がして薄っすら目を開くと茶色い瞳が私を心配そうに見つめていた。





茶色



久しぶりに見た赤以外の色は、茶色だった。

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