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番外編 ページ48

「よし!できた!」




ででんと効果音がつきそうな勢いで色紙を掲げる花巻さん。


その色紙には、綺麗な字で「治香(はるか)」と書かれていた。





「“治香”……!可愛い名前。」




「今は丁度桜の季節だから、春をイメージした名前がいいかなって思ったんです。」





少し微笑みながら話す、命名者の国見。




Aはその名前がたいそう気に入ったようで、赤ちゃんに「治香、治香、」とずっと名前を呼びかけている。





「よーし、じゃあこの子の名前は治香ちゃんだね!よろしくね、治香ちゃん!」





及川さんがそう言うと、治香は応えるように笑った。


その笑顔は、今まで見たどんな笑顔より可愛いと思えた。





「……よかった、可愛い名前つけられて。」





「…………そうだね。」





Aと俺は、柔らかく笑いあった。









_________________________









夕日が差し込む病室に、母娘で2人。







「治香、これからどんな子になるのかな。」





「……私と一緒に毎日死んだフリしようね。」







ふふ、と笑うと同時に、私が撃たれて入院した時の記憶が蘇る。







京治が、急に真剣な顔をして聞いてきたこと。







_____Aは、なんでいつも死んだフリしてるんだ?







TVを見たから、ていうのは半分本当で半分嘘。






仕事が忙しそうで、構ってくれなくて寂しかったから、なんて京治には言えないね。






私のただのワガママだったのに、なんでこんなに続いたんだろうな、と思う。








「………ま、いっか。」





「治香と京治が幸せなら、ね。」






妻、母、2つの役割をこなすのは難しそうだけど、頑張らなくちゃね。



治香の頭を撫でながら、私は“みんながこれからも幸せに過ごせますように”と祈った。







番外編.end

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作者名:*フィラ* x他2人 | 作成日時:2015年2月17日 20時

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