只今俺の妻は死んだふりをして出迎えてくれています。【赤葦京治】 (ページ41)

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Aの衝撃のカミングアウトに驚きを隠せないでいる俺。

嫌、普通こんな唐突に言われたら誰でもびっくりするだろうけど。

「…………赤ちゃん、本当に、できたの？」

…………うわ、すっごい片言。

まぁ今までの経験上、Aがこんな嘘をつくのはたくさんあったため、半信半疑で聞いてみる。

「…………疑ってる？本当に赤ちゃんできたんだよ。私達の。ほら、エコーの写真。」

Aがフッ、と笑いながら1枚の写真を見せてくる。

そこには、エコーで撮影したのであろう。子宮の中で、写真の下にはデカデカと「只今3ヶ月！まだまだ先だけど、元気で産まれてきてね！」とA特有の綺麗な字で書いてあった。

……丸で囲まれているところは、どうやらその赤ちゃんらしい。

「ね？本当でしょ？」

「………A…………………」

「ん、なあに？信じた？」

「うん。」

そっとAの頭を撫で、微笑む。

「ありがとう。」

これほど相手に対して感謝の気持ちを持ったことは、多分この前も、これからもないだろう。

ありがとう。A。

2人で微笑みあっていると、頭に柔らかい感触が。

すぐにそれは撫でられているのだろうと気づく。

「よかったじゃねーか。赤葦。」

「……黒尾さん……それに、みなさん………」

周りを見渡してみると、帰ったはずの宮城組まで居た。

各々から「おめでとう」や「赤ちゃん産まれたら絶対見に行くからな！」などの声が聞こえる。

横を見ると、「わー死んじゃったよー。」と棒読みで言って俺の肩に倒れかかってくるA。

「死んだフリ…………こんなところでかよ。」

呆れ気味に笑うと、Aの口角が少し上がった。

肩を揺すると、目をパチクリと開けるA。

そして笑顔でこう言った。

「京治！今日で死んだふり何回目だと思う！？」

「え？………さぁ……………」

「祝！200回目だよ！！！」

「………マジかよ……………」

苦笑い混じりに笑うと、それに釣られて幼い子供みたいに笑うA。

「200回も死んだフリされるこっちの身にもなって欲しいよ……………」

「でも」

「Aだから憎めないかな。」

「何それ」

クククッと笑うAに、俺は目を細めた。