只今俺の妻は死んだふりをして出迎えてくれています。【赤葦京治】 (ページ17)

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「8時………少し遅くなったな。」

右腕に付けてある腕時計を見て、呟く。

A、待ってるだろうな。

そんな事を考えながら、歩くスピードを速める。

暫く歩くと、いつの間にか家の前に着いていた。

何時も通りドアノブを引く。

ズダンッ！！！

「……っ！？」

……………引く前に、物凄い音が家の中から聞こえた。

若干遠慮気味にドアを開く。

「ただいま………ってえ………？」

そこには、大量の洗濯物の山があった。

「……え？なんで洗濯物……………」

A、置き忘れてたのか？

それなら、なんで玄関に………

とりあえず洗濯物を持つ。

「……よっと……A！？」

「んん………？京治……………？」

洗濯物を持つと、その洗濯物の下には倒れているAが居た。

「え…‥‥？どうしたの、A。」

「えーとね…………京治遅いから、今日布団とかいっぱい洗濯物あったし玄関で畳んで待とうかなって思って…………」

「何故に玄関」

「すぐに死んだふりできるから！」

ドヤ顔で言うなドヤ顔で。

「………で、洗濯物を運んでたら、そこにあるビニール袋で足を滑らせて転けて、洗濯物の下敷きになっちゃったの。」

「…………ビニール袋？……これか……あれ？これって……………」

確か、前黒尾さん達が来た時にババ抜きで負けて、買い出しに行った時の。

ついでに中身は辛子とわさびとしょうが。

メモ忘れたからヤケクソで黒尾さんの顔にぶちまけてやろうと思ったやつだ。

…………忘れてたのか。

「………ごめんA、今回は俺も悪いかもしれない。」

「え？なんで？あっ、てか湿布ある？おでこぶつけた…………」

…………ごめん、A。恨むなら黒尾さんを恨んでくれ。