怪盗からの選択肢 ページ10
.
「いいでしょう。好きにしてください……とにかく、この宝石は私が持たせてもらいます」
危険なことがあれば即座に逃げればいいだろう。
不承不承なAの言葉にも、キッドは嬉しそうに微笑んだ。
Aは訳が分からぬといった顔のまま、首元のナーシェレを取り外し、自身の白手袋に包んだ後服にしまい込んだ。
「それでは日が変わる午前零時まで、このリーズをエスコートさせていただきましょう」
逮捕されるはずがないと思っているのか。それとも単純に頭が悪いのか。これはきっと前者だろう。
Aは楽しげな隣の怪盗を見て、ふと、自分も少しだけ楽しいような、おかしな気分になっているのに気がついた。
相手は怪盗だというのに。こんな非現実的な世界に流され始めている自分に、Aは内心深い溜息をついた。
「警察に見つかっても私は知りませんよ」
「大丈夫。そんな簡単には捕まりません」
眼下には、リーズの夜景が広がっている。
キッドは何処から取り出したのか、大柄なコートをAに着せ、自分も瞬く間に変装してしまった。その素顔はやはり完全にはわからない。
Aも合わせて室内帽を取った。これで二人とも、元が怪盗とメイドだとは誰にも分からなくなってしまった。
「それじゃ、お手を拝借」
キッドはAに手を差し出した。
手を出さないし触れないと言ってから、真っ先に手を差し出すとは。
Aはそう思ったが、何も言わずに、そっとキッドの手を取った。
418人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
恋 - 一気読みしました!めちゃくちゃ続きが読みたいです!待ってます! (2022年9月13日 8時) (レス) @page48 id: 08a0986ba6 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!もし続編があるのなら、続きを楽しみに待っています!(*´ω`*) (2022年2月10日 14時) (レス) @page48 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - shibuyuさん» ありがとうございます!続き早くお見せできるように更新頑張りますね(´˘`*)! (2019年7月11日 0時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)
shibuyu(プロフ) - 怪盗キッド!私も大好きなので萌えます!早く続きが見たいなー!なんてっ♪ (2019年7月8日 17時) (レス) id: 8ac4695b82 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - くろばさん» ひゃ〜〜めちゃくちゃ嬉しいお言葉ですありがとうございますー!これからもドキドキキュンキュンしていただけるように頑張りますので楽しみにしていただければ幸いです〜! (2019年7月4日 22時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ