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怪盗の言葉 ページ15

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 キッドがAを連れて行ったのは、この時間には珍しくも明かりのつく店が多くある通りだった。その分人の往来も多く、まるで先ほど通った古色蒼然たる市庁舎前とは正反対に、橙黄色に煌めき活気に満ちていた。

 ここで何がしたいのだろうと、Aはキッドの行くままに着いて行った。そしてキッドはとある店の前で足を止めた。

「……宝飾店?」

 窓ガラスに“COURONNE(クロンヌ)”と金文字で入れられたその店は、陳列窓の中にルビーやエメラルドの指輪などを展示していた。

 こういった類の店に縁のないAは、何故こんな場所にという疑問と同時にある疑惑を生み出した。

「まさか、ここで泥棒しようってわけじゃ…」

「それは…随分大胆な……残念ながら今日はそうじゃありません」

 キッドはAの目をじっと見つめた。Aは彼の群青の瞳に吸い込まれそうな気がした。

 さっきまで尽きなかった話はパタリと止み、キッドとAの間には、静寂が流れていた。

「…貴方に、贈り物がしたいんです」

「贈り物…って、まさか、ここで?」

 Aは目を見張らせて隣のショーウィンドウを見た。並べ立てられている服飾類は、皆どれも気後れするような値札のものばかり。
 Aはまさかと思って首を横に振った。

「いっ、いりません!! そんなの、大体、私…貴方と会って、まだ…」

 続けて断りの言葉を出そうとするAの口を、キッドの人差し指が止めた。

「本当は」と、告白するような空気に溶け込んでしまうような小さい声で、キッドが呟いた。

「……本当は……貴方に忘れて欲しくない。私と出会ったこの夜を、少しでも形にしてほしい」

 例え一夜の出会いだとしても。そう思うのです。

 キッドの熱を帯びた視線に捕らえられ、Aは息を忘れた。

 Aの言葉を遮った彼の人差し指は少し強張っていて、彼も緊張しているのかと、不意にAにそう思わせた。



 

怪盗の言葉窟←第五話 怪盗の言葉



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- 一気読みしました!めちゃくちゃ続きが読みたいです!待ってます! (2022年9月13日 8時) (レス) @page48 id: 08a0986ba6 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!もし続編があるのなら、続きを楽しみに待っています!(*´ω`*) (2022年2月10日 14時) (レス) @page48 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - shibuyuさん» ありがとうございます!続き早くお見せできるように更新頑張りますね(´˘`*)! (2019年7月11日 0時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)
shibuyu(プロフ) - 怪盗キッド!私も大好きなので萌えます!早く続きが見たいなー!なんてっ♪ (2019年7月8日 17時) (レス) id: 8ac4695b82 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - くろばさん» ひゃ〜〜めちゃくちゃ嬉しいお言葉ですありがとうございますー!これからもドキドキキュンキュンしていただけるように頑張りますので楽しみにしていただければ幸いです〜! (2019年7月4日 22時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒猫@さかなねこ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年5月22日 2時

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