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第七話 怪盗の置き土産 ページ20

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 警察官によって護送され、屋敷に無事帰って来られたAを待ち構えていたのは、玄関口にいた中森警部からの質問責めだった。

 キッドの顔や特徴、性格の雰囲気、この数時間どこでどう過ごしたか、キッドはその間何をしていたかなど、想像を超える彼の質問量にAが気圧されそうになったところで、奥から出てきた夫人がそれを鎮めた。

 Aは夫人の顔で、今まですっかり忘れていた例の宝石の存在を思い出し、覚束ない手つきで取り出した。

「これはナーシェレ!? どうしてこれを」

「目当てのものでなかったので奥様にお返しして欲しいと言われて…」

「まあ、あの怪盗から取り戻してくれたのねA! 素晴らしいわ!」

 中森警部の手からナーシェレを攫い、夫人は心からの喜びの声をあげた。
 夫人の晴れ晴れとした顔色に、Aは緊張から解放され、身体が軽く感じられた。

 中森警部は依然、彼女が日本のキッドキラーのあの少年のように、巧妙にキッドを出し抜いて宝石を奪い返したのだろうかとあれこれ考えを巡らせていた。



 怪盗に盗まれた宝石を取り戻したというのだから、当然屋敷内は部外者含めAをしばらくの間取り囲んで離してくれなかった。

 騒ぎの隙をみて、誰も知らぬ間にAは四階の自室に戻ってきた。コートを脱ぎ、それを抱きしめながらAはベッドに倒れこんだ。

 まるで祭りの後のような虚脱感が身体を包み、寂寥感ばかりが心を占めていた。

 Aは脳裏で朧げな線を描くキッドに、遣る瀬無い悲しみを感じた。もう二度と彼には会えないと思うと、全身が締め付けられそうだった。

 たった数時間の間に、キッドはAの心を埋め尽くして、そして呆気なく消えてしまった。

 今やAの手元に残るのは、彼がAに羽織らせたコートと、そして、あの贈り物だった。

 Aははたと気がつき起き上がってコートのポケットを探った。

 指先に箱の当たる感触。Aはゆっくりとそれを抜き取った。

 紺と金のリボンを解き、Aは期待が胸を渦巻く中、恐々箱を開いた。


 

怪盗の置き土産侠←怪盗から警察へ?



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- 一気読みしました!めちゃくちゃ続きが読みたいです!待ってます! (2022年9月13日 8時) (レス) @page48 id: 08a0986ba6 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!もし続編があるのなら、続きを楽しみに待っています!(*´ω`*) (2022年2月10日 14時) (レス) @page48 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - shibuyuさん» ありがとうございます!続き早くお見せできるように更新頑張りますね(´˘`*)! (2019年7月11日 0時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)
shibuyu(プロフ) - 怪盗キッド!私も大好きなので萌えます!早く続きが見たいなー!なんてっ♪ (2019年7月8日 17時) (レス) id: 8ac4695b82 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - くろばさん» ひゃ〜〜めちゃくちゃ嬉しいお言葉ですありがとうございますー!これからもドキドキキュンキュンしていただけるように頑張りますので楽しみにしていただければ幸いです〜! (2019年7月4日 22時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒猫@さかなねこ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年5月22日 2時

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