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怪盗から警察へ? ページ18

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「今さっきの貴方の姿、普段の姿みたいで、見れてよかったと思ったの」

 しまったと思った時には既に遅く、キッドが取り繕う間はなく、「いつもはあんな感じなのね」と何も知らぬ純粋な笑顔をみせるAの姿がそこにあった。

 折角好印象のために普段以上に言葉に気をつけ、気障な態度を取り続けていたというのに、これでは水の泡である。
 しかしAが楽しそうなので問題はないか、とキッドは思った。

「私、そっちの方が好きよ。砕けてる方」

「……そんな…はぁ…」

 Aはキッドの気苦労を知らぬまま、明朗に笑った。キッドは、そっとそんな彼女のことを眺めて、心が温かになった。

「…本当に帰らなくていいのかよ」

「……あと二時間くらい楽しんでも、バチは当たらないわ。きっとね」

 中森警部達には申し訳ないけど、と言ってAはキッドにはにかんでみせた。Aのその言葉と仕草に、キッドは心の底から喜びが湧き上がってくるような気がした。

 キッドは周囲を見渡すAに近づき、その空いた右手をとった。彼女は少し驚いたようだったが、「なに?」とキッドに問いかけてきた。

「コレ…屋敷に戻ってから開けろよ」

 右手に収まる箱から、キッドに目線を移し、Aは「……ほんとにいいの?」と問いかけた。その瞳の奥には、まだこの贈り物に対する気後れがあった。

 キッドはそれを見抜き、わざとらしく咳払いをひとつした。

「……お嬢さん、これは今夜貴方の時間を頂いたことに対する償いでもある…いわば等価交換ですよ。そう思って、受け取って頂けますか?」

 キッドはAの右手にある箱を一度手に取り、力の抜けている彼女の手の甲を上へ向けた。そして例の如くそこに軽く唇を寄せた。

 Aはその突然の一連の動作を、気が抜けたように惚けてみていたが、小さく口付けの音が立った途端、火がついたように顔を染め上げた。

 再び箱を彼女の手に収め、キッドは不敵な笑みと共にAをみた。

「ね?」

「………わ…わかったから……手を」

 彼女は既に耳までのぼせていることを知らないのか、赤い頬だけを隠すようにして、キッドから顔を逸らした。
 キッドは今夜の数時間が今の一瞬で全て報われたような気がした。

 Aは、頭がクラクラするような気がして、暫くキッドから顔を背け続けた。

 酷く落ち着かない。解放された手の甲や、自分の心臓や、全身の至る所が過敏になっているような気がした。

 

怪盗から警察へ?窟←第六話 怪盗から警察へ?



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- 一気読みしました!めちゃくちゃ続きが読みたいです!待ってます! (2022年9月13日 8時) (レス) @page48 id: 08a0986ba6 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!もし続編があるのなら、続きを楽しみに待っています!(*´ω`*) (2022年2月10日 14時) (レス) @page48 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - shibuyuさん» ありがとうございます!続き早くお見せできるように更新頑張りますね(´˘`*)! (2019年7月11日 0時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)
shibuyu(プロフ) - 怪盗キッド!私も大好きなので萌えます!早く続きが見たいなー!なんてっ♪ (2019年7月8日 17時) (レス) id: 8ac4695b82 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - くろばさん» ひゃ〜〜めちゃくちゃ嬉しいお言葉ですありがとうございますー!これからもドキドキキュンキュンしていただけるように頑張りますので楽しみにしていただければ幸いです〜! (2019年7月4日 22時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒猫@さかなねこ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年5月22日 2時

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