サヨナラ初恋

＊ ページ10

その瞬間、押さえていた気持ちが飛び出した。




止まらない。止められない。




押さえきれない感情が、溢れ出す。




ずっと、ずっと隠してきたのに・・・




好き、が止まらない。




あの頃と、何も変わらない眼差し。




色気を含んだ瞳が、見開かれている。









あぁ、黒木君だ・・・




私の中で何かが切れた。




視界が滲む。




涙が零れる。




大好きな、大好きな黒木君だ・・・




私が恋した、黒木君だ・・・




「アーヤ・・・？」




久しぶりに聞いた、私を呼ぶ声。




優しい、声・・・




「黒木、君っ・・・！」




名前を呼ばずにはいられなかった。




折角、忘れていたのに・・・




封じ込めていたのに・・・




全部、全部、戻ってきた。




嬉しかった気持ちも




苦しかった気持ちも




幸せだった気持ちも




切なかった気持ちも・・・









全部、全部、全部。




「久し、ぶり・・・！」




涙を零しながら、黒木君を見上げる。




「うん。久しぶり」




そう言って、黒木君は私の涙を親指で拭った。









「あ、のね・・・」




もう、自分の気持ちに正直になりたい。




もう、隠したくない。




私は、この気持ちを伝える。

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