白銀の狼【トラファルガー・ロー】Ⅰ (ページ50)

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一瞬、コラソンさんが驚いたような顔をした気が…。

……気のせいかな。

ロー「で？お前は海兵なのか？」

ローくんがコラソンさんを睨みながらそう言った。

コラソン「…海兵じゃねぇ」

ロー「本当かｯ！？」

コラソンは私達の目を見ずに少し右上を見てそう言った。

『………』

小舟を降りて私達は病院に向かった。

ロー「こら、離せコラソンｯ！おい、嫌だｯ！病院はｯ！！」

コラソンさんはタバコを咥え、右手でローくんを持ち上げ、左手にはたくさんの紙の束を持っていた。

コラソン「普通のガキみてぇな事言ってんじゃねぇ。俺はお前達の病気を治す。あらゆる病院をまわる」

『………』

ローくんが病院を嫌がるのは白い肌を見せたら不気味がられる事を分かっているからだろう。

そして珀鉛病と知られれば感染ると追い払われ、酷い事をされるに違いない。

どうしようと悩んでいた時、コラソンさんの言葉が少し引っかかった。

『……あの、コラソンさん』

コラソン「なんだ？」

『"お前達の病気を治す"って…』

コラソン「ローとAの病気を治すって意味だ」

『え、…』

コラソン「Aは無痛症なんだろ？」

今の医療技術では無痛症を治すことは不可能だ。

もちろん珀鉛病も。

それに診察を受けてもし私がホワイト・ベル一家の生き残りだと知られたらｯ…。

コラソン「見ろ！こりゃあデカい病院だ！きっと治るぞ！」

──────────

医者「は、珀鉛病ｫ！？！？」

案の定、病院で診察を受ける時に珀鉛病だと言ったお医者さんと看護師さんに怖がられた。

コラソン「もう時間も経った。いい薬は出来てねぇのか？先生」

医者「す、すまんが…き、君…出身は…？」

ロー「…ｯ、…フレバンス…」

医者・看護師「「白い町ｯ！？！？」」

看護師「ｷｬｱｧｧ!!嫌だぁ！感染るｯ！！」

医者「す、すぐに消毒液と手袋ｯ！！それにガスマスクｯ！！あ、あと警備員及び世界政府にも連絡をｯ！！」

コラソン「…ｯ、！？」

ロー「……ｯｯ、」

お医者さんと看護師さんの慌てっぷりにコラソンさんはサングラスを外し、目の前の光景に信じられないと目を見張っている。

ロー「もういいｯ！」

ローくんは拳を握り俯いていたが、お医者さんと看護師さんの反応に耐えきれなくなったのか椅子から立ち上がった。

コラソン「ローｯ！」

ロー「見ろｯ！！俺はもう人間じゃねぇｯ！！」

ローくんは少し泣きそうな声でそう言った。

『……ｯ、』

ローくんｯ…。