白銀の狼【トラファルガー・ロー】Ⅰ (ページ23)

今日:4 hit、昨日:22 hit、合計:50,720 hit

20 ページ23

『…ｯ、うぅ…』

ノアさんの言葉を聞いて涙が止まらなかった。

私は箱の中で声を殺して泣いた。

ノア「アイツは今、幸せなんだｯ！だからもうこれ以上アイツから色々取り上げないでくれｯ！」

？「…仕方ない。殺れ」

次の瞬間、銃声が家の中に響いた。

そして火薬の匂い。

『…ｯ！？ノアさんｯ！！』

私は箱の中を叩いたりして何とか出ようとしたが出られなかった。

何度も何度も銃声が家の中に響く。

銃声の音のせいで私が箱を叩いても誰にも気づかれない。

ノアさんｯ…！

私を一人にさせないって…いつか恩人に会わせるって約束したじゃんｯ…！

なんでｯ…！

私は箱を叩くのをやめ、泣き崩れた。

？「……行くぞ」

？「白銀の狼はどうしますか？」

？「まぁ、すぐに見つかるだろ……ん？」

『……ｯ、！』

コツコツ、と足音がこちらに近づく。

私は息を潜めた。

？「……コイツは貰っていくか」

？「それは？」

？「コイツが貯めてた金品などだ。もうこの家に用はない。行くぞ」

『……ｯ』

あの人達が出ていった事を確認して私は箱から出て、ノアさんの元へ急いで向かった。

『ノアさ___…ｯ！？」

見るとそこには胸に無数の穴が空き、血だらけになったノアさんが倒れていた。

『ノア、さ……ｯ！』

私のせいだ…ｯ！

私のせいでノアさんがこんな目に…ｯ！

『ごめんなさいｯ！ごめん、なｯ…さいｯ！』

涙を流しながら私はノアさんに謝った。

ノア「…ｯ、う"ぅ"…」

『ノアさんｯ！！』

ノア「……ｯあ…ぁ…」

『待っててｯ！今、お医者さんをｯ！』

私が立ち上がろうとするとノアさんは私の腕を掴み、力なく頭を横に振った。

『…ｯ、』

ノア「A…前を、むい、て…生きろ…よ！」

『……ｯ、！』

前を向いて生きろよ…。

ノアさんは掠れた声でそう言った。

私の大好きなあの優しい笑顔で。

『……ｯ、！』

私は右手にあるピアスを握り、立ち上がった。

ボロボロと涙が溢れ、重力に逆らうことなく落ちていき、床に無数のシミができていく。

私は嗚咽を漏らしながら家を出て、道を歩いた。

『ノア、さんｯ…！』

──────────

ノアside

A…約束守れなくて…嘘ついてごめんな。

Aは自分のせいで俺が死んだと思ってるはずだ。

だから俺はAに前を向いて生きろよと言った。

ノア「A…愛、して、る…から、な…」

俺はそう小さく呟き、目を閉じて意識を手放した。