現実ってそううまくいかない...わけでもないんだよね～黒バストリップ～Part6 (ページ49)

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｢でも、まだ｣
｢火神君、気持ちはわかりますが…これからの君の為に……君の体のことも考えて下さい｣

強がりを通そうとする彼に、声をかけた。
彼は僕の方を一度見ると、俯いた。

｢…そう、すね｣
｢この試合が最終戦じゃないんです。もしこれで君の体が壊れたりなんかしたら、皆が悲しみます。

…日本一に、なるんでしょう?｣

｢…!、うす｣

出来るだけ棘のない言葉を選びつつそう言えば彼は力強く頷いてくれた。

｢君が自分を信じるのと同じように、僕らのことも信じてください。

僕が保証します。

勝ちましょう、絶対。
…あぁ、もちろん、“みんなで”、ですよ。｣

｢…ったりめーだろ!、です!｣

いってこい、と言う代わりに背中を叩けば、照れくさそうに笑いながらも小さく返事をしてくれた。

｢いってく…きます｣

その背中は、先程までよりも逞しく見えた。

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▽鈴村side

予定通り、第４Ｑ初め、緑間のシュートを火神は跳んで止めた。
そして伊月先輩がシュートを決め、点差はこれで10点となった。

｢カントク！いきなり２回のうち１回使っちゃっていいんすか！？｣
｢ハッタリだからね！｣
｢げっ｣

緑間の最初のシュートを落とすために、火神が残り２回しか跳べないはずの超跳躍をしたのを見て、不安そうに訊ねた降旗に、彼女は特に気にした様子もなく、あっけらかんと答えた。

｢こっからはフツーにマークしてるだけでやっとだからね…緑間君に撃たれたら止められない｣

彼女の言葉に、更に不安そうな顔をする降旗達。

｢けど緑間君はムリなシュートは打たない。予想を超える火神君のジャンプが"まだあるかも"と思わせれば、少なくともシュートに行く本数を減らせると思うわ｣

そう彼女が冷静に付け加えれば、納得して安堵したしたような溜め息が聞こえた。

おそらく彼女…カントクが考えているのは、今は少しでも秀徳の得点力を落とし、それより点を取ること。
そのために必要となるのはやはり黒子という存在だ。

｢…あ、｣

コートの中に黒子を見つける。

高尾の後ろにまわっているのに、高尾が気づかない。
つまり高尾が、黒子を見失った。