〃 ページ47
*
▽優side
「じゃあさ。
お前以外の人が勝とうとしてんのは__“無駄な努力”とでも言いたいの?」
「……ッ、ちが……」
「ふざけんなよ。
それが…お前が、本当にやりたかったことか?…火神。」
彼…鈴村は、つかむ力を緩めないまま続ける。異論は認めない、とでも言うかのように。
「『ここまで来れたのは俺のお陰だ、だからあとは好きにやらせろ。』…そう言いたいわけ?」
「…ッ、んなこと!!俺はただ……」
「……『キセキの世代と渡り合えるのは、俺だけだから。じゃなきゃ、この勝負は勝てないから。
勝たなきゃ、意味がないから』…か?」
「……!」
「……なんだ、そうだったんだ。」
つかんでいた手の力が少し緩んだ。
「やっぱりお前は何もわかってないな…呆れた。」
「ああ゙?!」
「…黒子、言ってやれ」
火神君をつかんでいた手を完全に離したと同時に、黒子へと振った鈴村。
…偶然にも、原作通りになった。
「…じゃあ勝利って何ですか」
低い声で呟きながら、黒子は再び火神君を睨む。
「試合終了した時どんなに相手より多く点を取っていても、嬉しくなければ…それは"勝利"じゃない!」
真っ直ぐに言い切る黒子に、火神君は、僅かに瞠目して、握りしめていた拳を緩めた。
「…別に負けたいわけじゃないって!ただ一人で気張ることはねーってことだよ」
「つかなんか異論…あるか?」
小金井さんが明るく付け加え、日向さんが呆れたように火神君を睨む。
「そんなん、無ぇ…いや…悪かった」
その周りの視線に、決まりが悪そうに視線を泳がせつつも、彼はしっかり謝罪した。
「勝った時嬉しい方が良いに決まってるわ」
そう頬を掻きながらそう言った彼に、今までの険悪なムードは消え、皆は胸を撫で下ろした。
「さて、黒子のおかげで火神の頭が冷えたのはいいとして、ピンチは変わってねぇけど…どうする?」
仕切り直し、とでも言うように日向さんが問いかける。
得点板は、47と61という数字を赤く浮き上がらせている。
「すいません一つ…今なら使えるかも知れません」
と、ふいに黒子が控えめに口を開いた。
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藍斗 - おもしろかったです! 更新頑張ってください 応援してます! (2016年9月10日 11時) (レス) id: 74bee11643 (このIDを非表示/違反報告)
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