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kuramochi.
「うわー、やっちまった」
一人十球と決められた数をなるべく遠くへ打つロングバッティング。最後に飛んできた球目掛けて思いっきりバットを振るが球は芯を外れ上に当たる。
真っ直ぐ前へ飛ぶはずだったそれはスピードを失くし、フェンスを超え校舎の方へ飛んでいった。
「なにやってんの、倉持」
「亮さん、さーせん!すぐ拾ってきます」
俺に呆れた顔をする亮さんに一言断りを入れ、駆け足でボールを
拾うためにグラウンドを出る。
スピードはそんなになかったため、校舎の窓ガラスが割れるという心配はなかったがもし人にでも当たっていたら大変だ。
「確か、こっちの方向だったはず」
ボールが飛んだ方向を思い出し、体制を低くして手探りで探す。
ふと横を見るとキョロキョロと校舎とグランドを見ながら歩く一人の女子生徒に目がいく。
凛とした立ち姿に、そよ風がいとも簡単にすくう細く、艶やかな背中まで伸びた黒髪。
目が離せなかった。
彼女に見惚れてから数分後。探し求めていた白く丸いものを校舎脇にある植木の影から見つけ出した。
「こんなとこにあったのか、」
校舎に傷は見当たらないし人に当たったという話も聞こえないので、まあ、大丈夫だろう。
まだ涼しさの残る春だが、先程のハードな練習もあってか、ジワリと汗が滲む。帽子をとり手の甲でそれを拭う。
グラウンドに近づくにつれてカキーンと心地よい音が大きくなる。すぐそばにある観客席には見覚えのある女子生徒が座っていた。先ほど自分が見惚れていた彼女だ。
野球に興味があんのか?
そんな事を思いながら、横を通り過ぎようと歩を進めたとき視界の端で白い球がスピードにのり、彼女めがけて飛んできた。
「ーーー危ねェ!!」
咄嗟に持っていた帽子とボールを手から離し、空いた片手で恐怖で固く目を閉じる彼女を抱きかかえ、左手につけられているグローブで飛んできたボールを掴み取る。
何とか間に合った、。
息をひとつ吐き、グラウンドからこちらを見ている打った本人に怒声を浴びせボールを返す。
外傷も見当たらず無事なようで良かった。
グラウンドへ戻れば亮さんから「かっこつけすぎ」とチョップを食らう。「理不尽っスよ!」と言いながらも視線は彼女の方へと向いてしまう。
名前も何も知らないあの子の事が何故だか知りたいと思ったからだ。
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りん(プロフ) - 松浦さん» コメントありがとうございます!最近倉持くん出せてなくてすいません笑 早く出せるように更新頑張ります! (2018年2月25日 23時) (レス) id: 2513547d82 (このIDを非表示/違反報告)
松浦 - お初です。倉持クンマジ天使ッッ(^р^)オフゥ 更新頑張って下さい! (2018年2月25日 21時) (レス) id: 2e34684167 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - ハル@雪割桜/推しとうちの子がしんどい/丹夏悠さん» コメントありがとうございます!すごく勿体無いお言葉……!全然更新できてなくて申し訳ないです。。でもそんな中でも楽しみに待ってて下さって、ほんと感謝しきれません。頑張ります! (2018年2月23日 2時) (レス) id: 2513547d82 (このIDを非表示/違反報告)
ハル@雪割桜/推しとうちの子がしんどい/丹夏悠(プロフ) - 初コメ失礼します!倉持落ちの小説って全然ないので、更新がとても楽しみです!時間の合間を縫ってでの更新がも楽しみにしています!更新頑張ってください!応援しています! (2018年2月22日 21時) (レス) id: 82274db2dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんご | 作成日時:2017年12月28日 21時