小悪魔…流星side ページ47
.流星side
Aが拗ねてリビングを出て行くと、神ちゃんは両手で顔を覆って大きく息を吐いた。
今でも好きなんやなあ。
「 なあ神ちゃん。俺あんまゲームしやんけど対戦相手なったるで 」
「 ほんまに？あいつがどこまで俺のデータで進めたか確認してからお願いするわ 」
肩を落とした神ちゃんは力なくコントローラーを持つ。
哀愁漂う背中と画面で明るく動くキャラクター。
その差に思わず笑ってしまった。
しばらくして神ちゃんが俺を呼んだ。
いつのまにかコントローラーは二つに増えていて片方が渡される。
しげとのんちゃんはAの様子を気にすることもなく俺らの対戦を楽しんでいた。
ゲームが好きな神ちゃんには5回対戦して1回も勝つことなく終わった。
ゲームの達人には敵わんな。
ゲーム機を片す神ちゃん、エアコンの真下で手を上げて涼む望、コップに水を入れて飲むしげ。
それぞれの時間を過ごす中、俺は出て行ったAが気になったので部屋に向かうことにした。
数回ノックすると返事が聞こえたので入ることに。
エアコンが付いていて涼しかった。
ベッドに寝転がるAが俺を見て手招きする。
ベッド脇に腰を下ろして同じ目線の高さになると、彼女は心配そうに神ちゃんのことを聞いてきた。
「 また嫌われたかな 」
「 俺は好きやと思うけど 」
本当に？と信じられないような顔で俺を見るから大きく頷いた。
二人ともこんなんやったら復縁したらええのに。
「 最近ゲームできひんかったから代わりに進めてくれてよかったって小声で言うてたで 」
「 そっか、じゃあ安心した 」
笑顔になると体を起こしてベッドから足を出して座った状態になる。
ショートパンツから伸びる綺麗な脚が嫌でも目に入る。
「 流星さんも男だね 」
「 え？ 」
「 私の脚見てたからさ 」
そう言って俺の両頬を引っ張ると立ち上がってエアコンの電源を切った。
「 来てくれてありがとう流星さん。やっぱまだ神ちゃんのこと嫌いになれないや 」
「 見てるほうもそうなんやろうなって思うで 」
「 流星さんに思われたら終わりだ 」
悪戯に笑ってドアノブに手をかけた。
俺も立ち上がって追いかけるように廊下に出る。
折れてしまいそうな華奢な脚も神ちゃんやったら何の抵抗もなく触れるんやろうなと思うと、Aに遊ばれてるみたいやんと虚しくなった。
小悪魔な彼女に振り回される俺達。
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作者名：ひよこ | 作成日時：2019年5月17日 18時
