てるてる坊主 ページ26
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翌朝
と言ってもあれから数時間後。
カーテンを開けて外を確認すると、先程よりはマシになった程度の雨が窓を叩きつけていた。
これでも学校があるのかと憂鬱な気持ちで制服に着替えてリビングへ。
すると窓の近くに寮母さん、神ちゃん、しげが集まっていた。
声をかけるとてるてる坊主を指差す神ちゃん。
「 昨日の夜こんなんあったっけ？ 」
「 それさっき流星さんが作った 」
「 え？まだ流星来てへんけど 」
「 夜中に雨が止みますようにって作ったんだよ 」
「 なんでAが知ってるん 」
「 私も目が覚めちゃったから 」
よく見ると奇妙な表情をしているてるてる坊主をクルクルと手で回すしげが笑う。
「 夜中に二人で可愛いことしてんねんなあ(笑) 」
「 提案したのも作ったのも流星さんだからね！ 」
「 流星ほんまに高校生なんかな、考えが普通に可愛い 」
手で回していたてるてる坊主の回転を止めると寮母さんに、ご飯食べましょ〜と言ってその場を後にするしげ。
神ちゃんは揺れるてるてる坊主を見ながら私に向かって、俺も目ぇ覚ませばよかったと愚痴をこぼした。
「 うるさいとは思っててんけど体起こす気にはなれへんかったもんな 」
「 雷怖い〜とか言って隣に行けばよかった？ 」
「 そんなキャラじゃないやろ(笑) 」
あははと笑うと用意された朝食を見て、飯食べようと私の背中を押した。
席に着いてからのんちゃんと製作者である流星さんが登場。
食事中はてるてる坊主の話で盛り上がった。
というより流星さんの愚痴話で盛り上がった。
「 あれ作っても全然雨止まへんやん。誰が何の理由でてるてる坊主作ろうってなったん？ 」
「 単なる気晴らしとか少しの可能性に賭けた昔の人のピュアな心の象徴なんやない？ 」
ヒートアップしないように寮母さんが優しく応対する。
「 もしかして表情があかんかったかな 」
「 それもあるかもしれへんで。藤井の描いた絵、なんか…その…奇妙やもん 」
「 夜中っすよ！眠たい目こすりながら描いたにしては上出来やと思うけど 」
「 でもなんか…何かが足りひんねんな。あ、感情や！雨止んでくださいの感情が足りひんねん！ 」
「 感情…じゃあ今度作る時は感情込めて作りますわ 」
小さくガッツポーズした寮母さんを見て微笑むしげ。
流星さんのピュアな心を男子勢に少しは見習って頂きたいと思いながら目玉焼きを食べた。
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作者名：ひよこ | 作成日時：2019年5月17日 18時
