雨 ページ3
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放課後になっても雨は止まない。
もう少しだけ弱くなってきたら帰ろうと思っていると、帰ろうとしない私にのんちゃんが声をかける。
「 神ちゃん待ち？ 」
「 雨待ち 」
「 神ちゃんと帰らんの？ 」
「 今日は約束してない 」
「 珍しいな 」
机の上にだらしなく座ると、私越しに見える外の世界に一つ溜息をついた。
「 俺も雨待ちしよかな 」
「 タピらないの？ 」
チャイムが鳴るとすぐやってくるハルカとアイちゃんの姿はない。
おまけにサクラの姿も見当たらなかった。
「 もうブームは過ぎ去ったんやないの？ 」
「 私と神ちゃんの中ではめっちゃ流行ってるけど 」
「 お前らが遅いだけや(笑) 」
あれからタピオカブームが私と神ちゃんの中で巻き起こって、デートするたびにタピオカを片手に歩き回っている。
しげには「 タピオカップル 」なんて言われる始末でそろそろストップしないとガチで破産してしまいそうだ。
「 二人きりになるとこのシチュエーションであかんことしてしまいそうやから神ちゃんのところ行こうや 」
「 マジで変態(笑) 一緒に行こ 」
二人で三年の教室がある階に向かう。
雨で窓は全て閉まっているせいで湿気が多く感じられる。
蒸し蒸しした空気を掻き分けて教室の近くまで行くと、男女の騒ぐ声が聞こえてきた。
のんちゃんは私にストップをかけ、高身長を活かしてこっそり教室内を覗く。
様子を見てこちらに戻ってくると苦い顔をした。
「 サクラ、ハルカ、アイが神ちゃん達と話しとる 」
「 え？ 」
「 どないする？お前が神ちゃんと付き合ってることは多分やけど知られてるはずやで 」
「 入ってみよう、話はそこから 」
のんちゃんを連れて教室にお邪魔する。
神ちゃんとしげは机に座って女子三人と笑っているところだった。
ちなみに流星さんはバイト。
「 みんな帰らないの？ 」
「 今から帰るとこやで。二人はどないしたん？ 」
「 神ちゃんのこと迎えにきた 」
そう言って神ちゃんの元へ行き手を握る。
女子三人のうち誰かが、えっと声を漏らした。
「 雨降ってるけど帰ろ 」
「 結構強いで 」
「 濡れても全然平気。嫌だったら違うところで弱くなるの待とう 」
シンとした空気が嫌でも伝わってくる。
神ちゃんは握った手に力を込めると頷いて私のことをリードするように歩き始めた。
三人に対する優越感が込み上げた。
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作者名：ひよこ | 作成日時：2019年5月17日 18時
