六月二十四日 ページ13
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転校生の名はユメと言う。
THE・アイドルの彼女は神ちゃんの隣の席で今日から一ヶ月程授業を受ける。
その間の不安要素は考えれば考えるほどたくさん思い浮かんで頭がパンクしそうだが、とにかく神ちゃんを信じるしかなかった。
「 な、聞いてる？ 」
のんちゃんが私の机を指で叩きながら首を傾げているのを、今の言葉を聞くまで知らなかった。
「 聞いてる 」
「 嘘やん、俺今なんて言った？ 」
「 今日の夕食なんやろ〜でしょ 」
「 やっぱり聞いてへんやん！アイドル転校生の話 」
「 え、知りたい 」
「 教えたろか 」
「 うん 」
「 じゃあ今日の昼一緒に食べへん？ 」
「 謎の条件付き… 」
「 知りたいんやったらチャイム鳴ったら俺についてくることやな 」
授業間の休憩中、のんちゃんはどこか嬉しそうにこちらを見て鼻歌を歌う。
あと一時間後に何を話してくれるのか緊張だった。
空腹で数学の授業を受けて昼休憩に入る。
寮母さん特製のお弁当を持ってのんちゃんの背中を追うと空き教室に辿り着いた。
適当な席に隣同士で座ってお弁当を開けた。
神ちゃんに申し訳ないという気持ちが押し寄せる。
「 で、アイドル転校生の話聞きたいんですけど 」
「 午前の移動教室で偶然流星に会って聞いたんやけど、めっっっっちゃスキンシップ激しいんやって 」
「 今すぐその人に会ってくる 」
「 落ち着けって！それ神ちゃんだけちゃうねんて。男女問わずみんなにベタベタっぽい 」
「 それも無理だから会ってくる 」
「 いやいや、お前と神ちゃんが付き合うとること知らんねんで？せめて二人で歩く姿見せるか直接言うか… 」
「 直接言う 」
「 ほんまに？言えんの？神ちゃんの彼女は私だから触らないでって自分で言えんの？ 」
「 …言えない 」
「 絶対そうやと思った。お前が言えるわけないもん 」
「 のんちゃん代わりに言って 」
「 何でやねん(笑) この二人付き合うてるから神ちゃんに触らんといてやって？なんか俺が神ちゃん好きみたいやん(笑) 」
「 嫌いではないでしょ 」
「 そうやけどさ…何なら神ちゃん本人が注意するとか 」
「 神ちゃんだったら言えそう… 」
「 じゃあ食べ終わったら言いに行こうや 」
「 は！マジっすか… 」
卵焼きを頬張りながら頷くのんちゃんのペースに合わせるのは意外と大変。
独占欲かなり強い彼女丸出しじゃん…
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作者名：ひよこ | 作成日時：2019年5月17日 18時
