六月五日 ページ1
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雨の音で目が覚めた。
カーテンを開けると灰色の雲が空を覆っていてザーッと大きな音を立てて雨が地面に叩きつけられている。
腕を伸ばして体を目覚めさせると、制服に着替えてリビングへ向かう。
いつものように寮母さんがキッチンに立っていてテレビを見ながら朝食を待つしげと目が合った。
「 一番乗り？ 」
「 今日は神ちゃん抜かしたった 」
「 一番はええことやけど少しは自分で盛り付けるとかそういう積極性がないからドヤ顔なんかできひんで 」
「 寮母さんも朝からキツイこと言いますわ〜。いつもよりも三十分以上早く起きたんやから少しは褒めてや 」
「 どうせ雨音で目覚めたんやろ、分かってんでそれくらい 」
言い返さないということは図星だということだ。
私も同じ理由だけど知らないふりしよう。
「 Aもそうやろ？ 」
「 私はいつもこの時間には起きてるよね寮母さん？ 」
「 Aちゃんも重岡と一緒やな 」
「 やっぱり。お前はいっつも小瀧か流星と争ってるもん、こんな時間に起きてこやん(笑) 」
「 でも私はあなたと違って今から自分で盛り付けしますけど？ 」
自分の食器と箸を準備し、自分が食べられる分のサラダやスープを盛り付けていく。
そんな姿を見たしげは立ち上がると対抗するように私の隣に来てご飯を盛っていく。
寮母さんは腕を組んで、変な奴らやな〜とおかしそうに言った。
そのまま二人で黙々とご飯を食べていると、神ちゃんと流星さんが入ってきた。
流星さんは私を見て目を見開いた。
「 神ちゃんとしげやったら分かるねんけどAがしげと二人でご飯食べとる…有り得へん 」
「 あ、言うとくけど俺が一番やからな。こいつは二番目やから。に、ば、ん、め 」
「 そうやんな、しげが一番やんな 」
「 お前俺のAを何やと思ってんねん 」
流星さんは神ちゃんに軽くど突かれたお腹を押さえながら、ごめんと謝った。
何も知らない寮母さんが首を傾げると、調子に乗ったしげが、この二人できちゃったんですとニコニコしながら口にした。
「 できちゃった！？神山！あんた何してんねん！ 」
「 えっ！ダメっすか！ 」
「 ダメに決まっとるやろ！Aちゃん何ヶ月？ 」
「 もしかして妊娠したと思ってるん？ 」
「 ちゃうの？ 」
寮母さんの勘違いに大爆笑するしげ。
騙されたと頭を抱える寮母さんは私にとって関西のおかんのようだ。
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作者名：ひよこ | 作成日時：2019年5月17日 18時
