優しい目 ページ46
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少しずつ日が傾いていくのを見ながら今は何時なんだろうと溜息をついた。
もしかしたら道を思い出すかもしれないと思ったのにここでの会話しか思い出せなくて動けなかった。
ランニングする人も散歩する人もいなくて水が流れる音と遠くから聞こえる車の音をただただ耳にするしかなかった。
お昼に流星さんが作ってくれたコーヒーを最後に何も口にしていないので少し喉が渇いてきた。
でも手元には役に立たない携帯しかないので何もできない。
膝を抱えてひたすら神ちゃんを待った。
私の居場所をあの写真で分かってくれると信じていた。
「 ……A!!!!! 」
遠くから聞こえてくる神ちゃんが呼ぶ声。
その方向を見ると膝に手を当てて息を整える神ちゃんの姿がハッキリと見えた。
立ち上がって神ちゃんの元へと走る。
彼も走ってこちらに向かってくる。
私は神ちゃんに思い切り抱きついた。
神ちゃんも私を力強く抱きしめた。
「 何してんねん!心配したやろ! 」
「 ごめんね、本当にごめんなさい 」
「 ほんまに、ほんっまに心配したんやで! 」
「 ありがとう…来てくれてありがとう… 」
思わず溢れ出す涙は彼の服を濡らしていく。
背中から後頭部に手を移動させた神ちゃんは、ごめんと口にした。
「 俺が一緒に留守番しとくべきやったよな、それやったらこんなこと起きひんかった 」
「 私がジッとしてなかったのが悪いんだよ、神ちゃんは何も悪くない 」
「 いや、悪いのは俺や。寂しい想いさしてしもた 」
体を少し離して見つめる神ちゃん。
逆光で表情は少し暗かったけど優しい目をしている。
堪らなく好きなその目は私のことを離さない。
そのまま近づいてキスをした。
柔らかく繊細な彼の唇は私のことを欲するように何度も何度も角度を変えて重ね合わせてくる。
こんなところでこれ以上深くなっていくことはできないので、最後に一つ首筋にマークを付けると頭を撫でて笑顔になる神ちゃん。
今更恥ずかしくなった私は手を握って芝生の斜面に座ることにした。
いつのまにか夕日は半分姿を消していて空はグラデーションで綺麗だった。
それを隣で見ている神ちゃんもとても綺麗で、何故か誇らしくなった。
そんな彼の横顔にそっと手を伸ばすと不思議そうにこちらを向く。
好き、と言うと、俺もやで、と動いて笑う。
その事実が嬉しくてもう一度だけ近づいてキスをした。
涙が零れ落ちた。
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作者名:ひよこ | 作成日時:2019年4月26日 0時