限定 ページ10
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「 無視した理由を10文字以内で答えよ 」
難しい、さすがに10文字以内は難しすぎる。
これは公開処刑だと自分に言い聞かせた。
教室と廊下の狭間とは言え、近くの席の女子達が揃って話を聞いているのが分かる。
腕組みをして扉に体を預ける望と、シンプルに腕組みをして返事待ちをするしげ。
二人の圧が怖すぎて退いているのが自分でも分かった。
「 恥ずかしいから、に決まってるじゃん 」
「 おー、ちゃんと10文字以内やん 」
体育でかいた汗も少しずつ乾いて、不揃いの前髪が風でなびいている。
そんなことを言わせるためにわざわざ呼んだのか
私はしげの目をジッと見つめる。
「 まあまあそんな顔すんなって、せっかくのお顔が台無しやで 」
「 いやただ見てるだけだしどういう意味 」
「 そのまんまやん 」
こんなところでやめてほしい、そう思った時に隣から望が
「 ほらこいつも困ってるやん、あとはお引き取り下さい 」
と言いながら私としげの間に割って入ってきた。
大きな背中があとは任せておけと言ってるようで、今朝しげに言われたことは大体合っていると一人頷く。
「 ええよなあ、小瀧は 」
「 何の話や 」
「 んー、言わんとく 」
背中越しに聞こえる会話にヒソヒソと近くの女子が話している。
すると目の前の白い背中がスッといなくなって、しげの笑う顔が現れる。
「 なっ？朝言った通りやろ？ 」
「 そうみたい 」
「 もう！早よ帰れや！ 」
知らないことを話しているのが嫌な望はしげの背中を押して無理矢理帰らせた。
ひらりと手を振って遠ざかる背中を見ていると、お前も戻りや、と言って同じように背中を押される。
仲ええなあ、なんて聞こえてきてそれに対してまあな〜なんてどこか誇らしく答える望。
外の陽射しが私達の机を照らしていた。
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作者名：ひよこ | 作成日時：2018年9月15日 23時
