楽しみ ページ3
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放課後の教室、夕陽が差し込みクラスメイトがそれぞれの放課後を過ごそうとしている。
私達もそれぞれ帰り支度をしていたのだが、担任に捕まって数学のワークを職員室まで持ってくるように臨時で仕事が入ってしまった。
何故よりによって私達を使うのか不思議でたまらなかった。
「 ねえ待って、私の方が冊数多いって何事? 」
「 俺が先にこっち持ったからそれしか選択肢なかったんやろ 」
「 いやいや、重くて持てない 」
「 じゃあ二回に分けて運んだら? 」
「 それおかしくない?私が二回運ぶの?きみは?頼まれたのにサボるの? 」
望は疑問でいっぱいの私を笑って「 しゃーないな 」と言いながら冊子を移動させ軽々と何十冊ものワークを持ち上げた。
残る数冊は私が運ぶものだとドヤ顔で言う。
教室を出て生徒を避けながら廊下を歩く。
同じ学年にも下級生にも声をかけられ、アイドルのように応える望の隣にいるのが少し怖かった。
そんな女子の中に紛れ込んでいた一人の男子。
彼を見るといつも心臓が飛び跳ねる。
「 二人仲良くパシられてんの? 」
私達を見つけた彼はニコニコしながら話しかけてくる。
「 今すぐ変わってほしいわ。これ結構重たいねんで? 」
「 この量の差やばいな、小瀧に感謝せえよ〜 」
ズボンのポケットに手を入れて私を見るのは隣のクラスの重岡大毅。
こうして少しでも会話ができることが嬉しかった。
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作者名:ひよこ | 作成日時:2018年9月15日 23時