早起き ページ14
.
翌朝。
昨日とは違い余裕を持って家を出た。
もう遅刻ギリギリは味わいたくない。
その気持ちもあるが一番大きいのはしげに会えることだと思う。
少しでも早く会いたい、声が聞きたい、と。
放課後に歩いた通学路を一人早歩き。
今日も綺麗な朝陽が街を明るく照らしている。
昇降口まで行くと大きな背中が見えた。
他にも生徒がいるけど目立って見えるのは背が高いから。
靴を履き替える彼に私はおはようと声をかけた。
ゆっくりとこちらを向く彼の目は眠そうだった。
「 おはよ、今日は昨日と大違いやな 」
「 もうギリギリは嫌なの。そういう望こそ早いんじゃない? 」
「 早い時間に目覚めたからどうせなら学校行ったほうがええんちゃうかって思って… 」
最後の方は欠伸であまり聞き取れなかった。
本当に眠いのだろう。
「 この時間やとあんま来てへんのやな 」
「 電車通はもう少しで駅に着く時間だと思う 」
「 へえ、徒歩勢のくせに電車の時間分かんねや 」
教室へ向かう途中にそんなやり取りをする。
いつも私が家を出る頃に遠くで自転車に乗る後輩達をよく見かけているのだ。
イコール私は遅めの登校ということがバレる。
私も自転車で通おうかなと思ったけど全然苦痛じゃないため徒歩通学。
昨日みたいにギリギリだとめっちゃ焦るけど。
辿り着いた教室ではチラホラとクラスメイトがいてそれぞれの時間を過ごしている。
席へ向かう私達を見ておはようと声をかけてくるみんな。
交互に私達の顔を見た後に一緒にいる友達の顔を見るあの子。
何が言いたいのか聞くつもりはないけど何となく分かる。
それに気付いていない望は私の名を呼んでこちらを向いて席へ座る。
「 結局昨日一緒に帰ったん? 」
「 まあ…帰ったよ 」
「 ふーん 」
自分から聞いといて興味の無さそうな返事にムッとする。
まだ関係を言うつもりはないけど気にしてほしいような、そんな気持ちもある。
「 家の方向逆やんか、それでも一緒やったん? 」
「 前まで来てくれたよ 」
「 あいつ優しいんやな 」
今日もふわっとした髪は目にかかっていた。
昨日の放課後のしげを思い出して胸が高鳴る。
「 朝から見つめすぎやって 」
そう言いながら望は私の頭をポンと軽く撫でた。
二人きりじゃないことを知らないような、そんな感じがした。
.
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひよこ | 作成日時:2018年9月15日 23時