真実 ページ21
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遠くから花火再開の声が聞こえてきた。
ザワザワしている様子が遠くにいても分かる。
「 神山くん、私ね、 」
「 Aが今から何を言うのか分からんけど、何となく先に言うてもええかな 」
きっと夜空には先程同様、一筋の光が海辺から上がっているのだろう。
神山くんの瞳が私を離そうとしないから予想するしかなかった。
あと少しでまた打ち上がる、とても大きな花火。
「 A、好きやで 」
花火は彼の言葉を待つように、その後すぐにドーンと大きな音を響かせた。
神山くんの瞳にはキラキラと花火が映っている。
それが消えたと思うと、すぐに抱きしめられた。
夏の暑さは苦手だけど、彼の体温は苦手じゃない。
何となく直感でそう思った。
「 小瀧みたいに昔からAを知ってるわけやない。
でも出会ってから今日までのこの短い間に、
俺は磁石みたいにAに引き寄せられたんや。
伝説が見たいなんて変なこと言う俺を、
Aもおばあちゃんも快く受け入れてくれた。
ほんまに嬉しくて嬉しくて堪らんのやけどな、
一つだけ、Aにとって重要なこと隠してるねん 」
そこで言葉を区切ると、体を離し私の両肩に手を置いて真っ直ぐにこう言った。
「 Aの大切な人を殺したのは俺のおとんや 」
何も聞こえなくなった。
自分の昂ぶる心臓音も花火の音も風の音も全部全部無になった。
冗談だと思ったのに彼の目は真剣に訴えてくる。
「 俺のおとんはAの両親を不注意で車で轢いてしまった。
俺が小学六年の時やからその時のことはあんま覚えてへんけど
おとんは一人で夕暮れにここへ来てん。
すぐに両親は離婚しておかんに引き取られてから
なんでおとんは一人でここに来たんやろうって思ってん。
恐る恐るおかんに聞いたら伝説見に行ったんやって。
最初全然意味分からんかったけど詳しく調べたら
ここでグリーンフラッシュが見れるって知って。
おとんが見ようとしたその伝説を俺も見たくなって
義務教育が終わってから一人でここに来てみてん。
Aと初めて出会った時、もしかしたら被害者の娘さんなんかなって
心のどこかで思ってんけどそんなこと聞けへんし。
でも前にAが教えてくれた家族の話を聞いて確信した。
隠すことできひんからこんなタイミングやけど言うことにしてん 」
人間とは、好意とは、不思議なもので。
今度は私が彼を抱きしめていた。
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ひよこ(プロフ) - むーむーさん» コメントありがとうございます。ドラマ化だなんて私にはもったいないお言葉です！そう言って頂けるとこれからも頑張ろうと思えます。作品を読んで頂きありがとうございました。 (2018年8月29日 21時) (
レス) id: 1c4112a45d (このIDを非表示/違反報告)
むーむー - 素敵な作品ですね！とても面白かったし、ドラマ化してほしいなって思いました(*^_^*) (2018年8月29日 21時) (レス) id: 12552c9479 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひよこ | 作成日時：2018年7月28日 18時
